コンビニエンスストア(CVS)の業態動向(続)だが、ローソンは、三菱商事、KDDIとの3社での資本業務提携に関するニュースが流れた。ローソンは、通信事業会社を共同経営パートナーに迎え、テック分野の取り組みを加速させることになろう。KDDIとの2社間での顧客・購買データ活用したデジタル面での協業や、次世代に向けてリアル店舗の追求といった、将来的な事業構想を一気に打ち出し続けて行くに違いない。
▼加えてCVSが加速させているのが、店舗商品を受注後、短時間で届ける即時配送サービスになる。セブン&アイ・ホールディングスは、現在展開中の中期5カ年経営計画の中で、店舗商品の即時配送サービス「7NOW」の売上高を2000億円にする目標を掲げている。ローソンは、「Uber Eats」をはじめとする4社と手を組み、デリバリープラットフォームに出店するかたちで事業を展開。今年4月時点で5671店まで導入店舗数を広げている。また、一部店舗になるが、一般用医薬品や店内調理設備を生かしてデリバリー専用の店内調理メニューを配送するゴーストレストラン事業も展開している。
▼食品スーパーとして気にしなくてはいけないのが、「SIPストア」や「生鮮強化店」への取組になる。CVSの国内店舗数は5万7913店(24年3月末)まで増えたが、これまでのような店舗増は期待できない。むしろ既存店の収益性アップに動かざるを得ないはずだ。セブン-イレブンは、取り込めていない潜在ニーズの開拓と、次世代のCVSの在り方を模索するための新コンセプト店舗「SIPストア」(セブン-イレブン松戸常盤平駅前店)を開店した。CVSの「あるべきフォーマット」の追求が始まった格好だ。
▼北海道を中心に店舗展開する「セコマ」も、生鮮強化の店舗開発に着手している。過疎地において、遠出をせずに身近な場所で買物を済ませたい人の需要を見込んでいるという。人口減や高齢化などが進む中で、高齢者が最寄りの店で買物を済ませたいニーズも高まってくる。全国に物流網を持ち、他業態よりもローコストで運営可能なCVSが、ワンストップで日常に必要な買物を済ませられる業態づくりを加速すれば、更なる脅威になりそうだ。
2024/06/04