キーワードは、「M&A」「調剤」「PB」「海外」・・・

食料品を取巻く環境の変化と食品スーパーの現状を、新入社員にとって興味深く聞いてくれるのがドラッグストア(DgS)の動向に関する項目だ。確かに影響がある上にM&Aが活発化している。このDgSは、薬粧の高い荒利を原資にして、食品スーパー市場を侵食しながら成長してきた業態になる。最近は、食品強化型の、いわゆるフード&ドラッグ各社の勢いが増している。積極的な出店に加え、販売品目を拡大し低価格と利便性を背景に成長を遂げてきた。

▼これまで人口減少・高齢化社会への対応を図り、狭(小)商圈を想定した店舗開発を強化し、狭(小)商圏での高来店頻度実現に向け、「食品」強化の動き顕著だ。90年代以降は医薬分業率の上昇に合わせ、処方箋調剤への取り組みを強化して来たが、調剤事業の収益化が難しくなって来ている。調剤報酬改定(22年4月)での影響で調剤荒利益率が低下、チェーンの薬局の調剤報酬基本料の点数も集中率に関係なく減点、地域支援体制加算のハードルも高くなり対人業務の強化が欠かせなくなっているのだ。

▼結果的に品揃えの総合化が進展している。既に、主要12社の平均だが、医薬品および化粧品の売上高構成比が42.1%、食品、雑貨、その他の売上高構成比57.9%となり、利便性の商品群が上回っているのだ。国内市場の縮小、薬価や調剤報酬の改定、OTC医薬品に関する規制の緩和に加え、同業態、異業態、ECサイトなどとの競争激化、ディスカウントストアの台頭により、競合をしのぐ差別化が求め始められている。さらなる専門性の強化と利便性の追求、地域住民の健康の拠点として地域に不可欠な存在となる動きだ。

▼DrS業界の好調企業に共通するのは、M&Aも含めた各地での出店加速である。地域によっては店舗飽和化も指摘されるが、積極的な出店攻勢は止まらない。特に食品の品揃え・販売強化を目指し、新たな投資を行う企業も目立つ。「クスリのアオキ」は関西・北陸・北関東・東北の各地で、ローカルSMのM&Aを実行している。「Genky DrugStores」は、岐阜県内で物流センターとプロセスセンターを併設させた製造・配送拠点を稼働させている。

食品スーパーが受ける影響は大きい。とくに強烈な価格訴求は、脅威となりそうだ。