総合スーパー(GMS)は何故苦戦しているのか。小売業近代化に多大な功績のあった故渥美俊一氏は、“豊かなくらし”(豊かさの大衆化)を実現するための社会革命を唱えた。小売業は、生活を営むための物と事との提供ビジネスと位置づけ、くらしのニーズとウォンツとに応える商品提供の実現のためにチェーンストア経営システムを指導した。チェーンストア産業化50ヵ年計画を立て、「ビッグストアづくり」そして、「チェーンストアシステムづくり」を掲げている。
▼まず、業界の体力を付けるために「ビッグストア」を創らせたことになる。日本のGMSは、モデルとした米国には存在しない業態であったので、「日本型スーパーストア」と表現している。日本リテイリングセンターでは、今もこう表現をしている。歴史の流れから言えば、GMSは役割を終え、チェーンストアシステムづくりに重心が移ったことにもなる。この事をベースに置きながら、日本型スーパーストアの30年間の業績推移を見てみたい。
▼まず、日本チェーンストア協会(JCA)のホームページから、売上総額の変化を見ると、1992年から2023年の間に、88.4%に減少している。なかでも衣料品は、18.9%まで減少してしまっているのだ。売上構成比の変化では、92年には、食料品43.2%、衣料品25.6%、住関連品31.2%が、23年では、食料品が、69.9%まで構成比を伸ばしているのだが、反対に衣料品は5.5%、住関連費18.8%と大幅に変化しているのだ。
▼日本国内の衣料品は何年にも渡って不振が続く。商業動態統計の「織物・衣服・身の回り品小売業」欄を見ても92年に14兆9600億円あったものが、23年には8兆5145億円と56.9%に萎縮している。ちなみにJCAの衣料品業績も同率とみたら、2兆2340億円となり、▲1兆4940億円ほどの差が生じる。国全体の動きとは別の要因があると思われる。この期間の「ユニクロ」と「しまむら」の国内売上が1兆4300億円増加しているのは偶然なのだろうか。
2024/06/09