自店のファンをつくる努力を継続実践すれば・・・

国内初のコンビニエンスストアが開店してから50年が経つ。1号店は、74年5月15日、東京都江東区豊洲での誕生であった。山本 憲司氏が1号店のオーナーである。1949 年の生まれなので、今年75歳になるが、69年に酒販店を経営する父親の急逝に伴い、明治大学を中退して店舗を継ぎ、25歳の時、セブン-イレブン1号店を豊洲に開店させたのだ。現在は、㈱ヤマケンの代表取締役であり、豊洲を中心にセブン-イレブン8店舗を運営している。

▼この1号店がセブン-イレブンの成長物語のスタートなのだ。コーネル大学RMPジャパンでも、コロナ禍前までは、(株)Believe-UPの信田洋二氏に講義を頂いていた。この山本氏のセブン-イレブンの店舗だが、開店以来一度も前年実績を割ることはなく発展して来たという。全国のオーナーが業績面を始め種々の悩みが生じたときに、訪問し打開するための指導を仰ぐというモデル店舗でもあるのだ。コロナ禍の影響も受けずに、業績は続いていると思う。

▼この山本氏の話の中で良く出てくるエピソードがある。伊藤雅俊氏と鈴木敏文氏という二人の経営者としての側面だ。伊藤氏からは商売の考え方について教えて頂いたという。伊藤氏は、「この商品を見てどう思うか」と聞く。「いい商品ですね」と答えると、「お前はまだ二流だな」と言われた。「この商品はこうすればもっとよくなる」と言えなければ商売ではないという意味だと懐かしむ。

▼一方、鈴木氏は、基本を徹底することしか言わない。あるミーティングの場で鈴木氏から「店が汚い」と怒られたことがある。「特に東京の店が酷い。お前はどう思う」と聞かれた時、「言っていることはよくわかります。でも私たちはいいと思って、毎日一生懸命に仕事しています。汚いと言うならば、『こういう器材を使って、これだけの時間をかけてこのようにやること』といった具体的な提案をして欲しい」と意見を述べたら、「うーん」と考えながらも、すぐに対応をしてくれたと山本氏は話しているという。

1号店のオーナーである山本氏、「自店のファンをつくる努力を継続して実践し、ファンをできるだけ増やしたい」と50年経った今も願っているのだ。

2024/06/16