米国ドラッグストア(DgS)チェーンの「Walgreens」は、国内店舗の約8,600店のうち”相当数”をスクラップする計画があると発表した。米国内店の25%となる2,200店が赤字の不採算店舗であると明かしている。Walgreensの第3四半期(3月~5月期)決算では米国内の小売部門の売上高が285億ドル(前年同期比2.3%増)であった。また既存店・売上高前年同期比は3.5%増となった。ただ、営業利益は47.9%の大幅減になっているのだ。
▼厳しい市場環境に加え、多くの都心部に出店するDgSにとっては組織的犯罪集団による略奪行為に近い万引きも影響が大きいという。調剤も儲けの薄い商品群になり、どんどん儲からないビジネスになっている。競合の「CVS」も18年~20年に244店をスクラップし、21年には900店を閉鎖する計画を発表した。「Rite・Aid」は破綻してしまい最大500店舗を閉鎖する計画。DgSチェーン業界も小売業界の時代の変化には抗えず大きな帰路に立たされているのだ。
▼日本も23年度決算発表によると、DgSチェーンの業績は、ウエルシアホールディングスを除いて好調だった。なかでも2ケタの増収増益となったスギホールディングスの伸びは凄い。上位集中が進みつつあり、DgS業界は「業態論」から「個別企業論」に変わっていくべき時期に入った。市場的にも飽和感を拭えない。ウエルシアHDとツルハホールディングスの経営統合は、その象徴的な動きとも言えるのであろう。
▼DgSの1店舗当たり商圏人口は23年に7000人を下回った。出店すれば儲かるという時代は明確に終わり、いかに特色あるフォーマットを出し続けていけるかが重要になっっている。生鮮ドラッグを展開するクスリのアオキホールディングスやGenkyDrugstores、食品強化型のコスモス薬品、調剤強化型のスギHD、都心部立地を中心に店舗を展開するマツキヨココカラ&カンパニーのように、色分けがより明確になっていく。これからは、それぞれが自社の差別化に磨きをかける戦いになる。
2024/07/06
