米国訪問中、発熱をしてしまった。何度も訪問しているが初めての事であり、「TYRENOL」を飲んで、終日ホテルにこもった。高い熱ではなかったが、他のメンバーに迷惑を掛けることのないように静かにしていた。何も出来ず、日本の小売業近代化について思いを辿ってみた。日本の小売業が、チェーンストア産業構築を目指し「流通改革」という言葉で動き出したのが60年代である。就職企業先を選ぶのに「ダイエー」という名があり、関東圏ではエンターテイメント産業の「大映」と錯覚して笑いあった思い出がある。
▼この時代からしばらくは、「安さと便利さ」の提供力で企業の発展が決まった。それは、どの業態を選択し、立地の有利さ、売場面積の広さ、店舗アクセスの有利さ、駐車台数の多寡、ショッピングセンターへの入居、品切れ防止策などで差がついたものであった。言い換えれば、「業態」の有利さでの評価が多店化につながったとすら覚える。改めて米国小売業を見るに、我が社にとっての「商品開発」と「業務・作業システム改革」の遅れを気にしたい。
▼顧客の買物の場としての選択は、買いたいものが必ずあるという確証によるものだ。「何か良いものを探したい」と思っての来店はない。毎日の暮らし維持に忙しく、そんな余裕はないのが普通である。品質は同じだが値段が安い、値段は同じだが品質が優れている、他社にない機能を持っているなどの特徴で、目的買いされるのだ。これを「核商品」と呼び集客力の差がここで生まれる。核商品が数多く育つと「核売場」となり、競争の要となるのだ。
▼仕入れ技術の優れたバイヤーのいる企業は有利だ。ただ、仕入れ商品だけでは優位性を維持することは難しい。自社でしか扱っていないPB商品がどうしても必要になる。それがお客にとって有利なら、来店せずにはいられなくなるはずだ。米国の食品スーパーでは、売価と供給量の安定を目指して野菜と果物の自社ブランド比率が高い。また、品質と安定供給の実現に加え、荒利益率の高い品種は自社で手掛けている。「安くて便利」の店舗から「核売場・核商品」を持つ店舗づくりが大事だ。
2024/07/22
