Yahoo!ニュースのITメディア・ビジネス欄に、「セルフレジで客が減る?欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか」が掲載されていた。カタリナマーケティングジャパンの松田 伊三雄副社長の記事だ。小売業界に影響を及ぼす「物流2024年問題」への対策もあり、小売店舗はオペレーションDXを進めているが、昨年末に業界の注目を集めたニュースがあった。英国のBoothsがセルフレジをやめたという報道についてとある。
▼Booths社は、「セルフレジは遅い・信頼性に問題があるなどと長年顧客から言われ続けてきた。Boothsは高い基準と高いレベルの温かみ、パーソナルケアに誇りを持つ」と広報している。また、米国のDollar Generalのセルフレジ撤退例を挙げて、セルフレジは顧客のエンゲージメントや店舗に対するロイヤリティーを下げている可能性を示唆している。有人レジと比較し、セルフレジでの買上点数が下がり「明らかに一定の客離れが起きている」との指摘内容だ。
▼読者にとっても、関心が高い事なのだろう、ヤフーコメントには4000件を超える書き込みがある。記事は、「興味深い実例を紹介します」として「セルフレジ化した店舗群のなかで最も売上げが下がった店舗は、変更する前年と比較して5.3%もダウンした」とセルフレジ導入による客離れを指摘している。どこの国のどんな業態の店舗は明らかにしていないが、少なくとも米国においては、全店にセルフレジを導入したWalmartは売上を伸ばし続けている。
▼勿論、Walmartの業績が伸びているのはセルフレジを導入したからではない。既存店ベースを牽引しているのがネットスーパーなのだが、ネットスーパー対応で注文品をピッキングするスタッフにレジ係りの人員を割かなければならないということからとある。これまで続けて来たサービスを変えるには理由があるはずだ。しかも、高級スーパーBoothsのクレーム対策としての撤退と低所得者層をターゲットにしたDollar Generalの万引きロス対策としての撤退を同じように結論付けて良いのだろうか。売上増減への影響がセルフレジだけの原因なのかどうか、総合的に十分な検証を要するはずだ。
2024/07/25