一度習い覚えた知識は、プロとしての知的生産を生涯に渡って支える大きな武器になった時代もあったが、急速に時代遅れになる時代になった。学んだ知識が富を生み出す期間が短縮化されている。今は、過去に学んだ、体験した知識をどんどん償却して、新しい知識を仕入れなければならない。このコーネル大学RMPジャパンの役割もここにある。受講生の知的戦闘力を高めるための方法(システム)を習得頂けたら有り難いのだ。
▼受講生のキャリアを考える時に、これまでと違った変化が起きている。リンダ・グラットンの著書『LIFE SHIFT』は、日本でも話題になったが、この中で、寿命が100年になる時代には、現役年齢もそれに相応して長くなると指摘している。現役年齢が延長されるということになる。その上、企業や事業の旬としての寿命は短くなっているという変化が起きている。日経ビジネス誌にあった記事によると、企業や事業の旬の寿命は10年程度という。
▼企業、事業の「旬」の期間が短縮化する一方で、生涯における労働時間は長期化する傾向にあるので、ビジネスに携わる人の多くは、仕事の面で大きなドメインの変更を体験することになるのだ。上手くこの変化を乗り越えることが、仕事のやりがいやそこから得られる報酬、精神面での安定といったものになるはずだ。人生面での「豊かさ」に直結するこの力を得るには、やはり学ぶ方法(システム)を身に付けることが重要になる。
▼イノベーションは、それまでの価値提供の仕組みを根底から覆すような変革を指すので、乗り遅れた企業や事業は消滅するような事態が発生する。「イノベーション」という言葉を生み出したシュンペーターは、「新しい結合」が必要と指摘する。深い専門性と幅広い知識を併せ持つ人材が、企業や事業創造には必要になっている。残念だが、これまでの世の中の仕組みは、このような人材を生み出すようになっていない。個々人が学ぶ事に頼るしかない。
2024/10/03