経済けん引役としての米国の役割は・・・①

第2次大戦後の世界経済の拡大を支えて来たのは米国だ。終戦の直後にあってはマーシャル計画によってヨーロッパ西側諸国へ大規模な資金を提供した。マーシャル計画とは、1947年に崩壊しつつあった英国、ヨーロッパの経済崩壊、そして共産主義勢力の拡大を防ぐ目的もあり、マーシャル国務長官が指揮を執り実行されたもので、ヨーロッパの経済成長は、この資金を元手に歴史上最も早い成長を見せ、復興を果たした。

▼我が国(日本)やヨーロッパが戦後の復興を終わると、米国は日本やヨーロッパからの輸入拡大を続けて、「需要の提供国」として世界経済の成長を支えた。これによって特に日本と西ドイツは、驚異的な経済発展を遂げたのだ。ただし貿易赤字により、米国は金の流出危機を招いたために、1971年には当時のニクソン政権は、それまで金と交換できる唯一の通貨であった米国ドルの兌換を電撃的に停止したのだ。いわゆるニクソンショックである。

▼これで金兌換を裏付けとした基軸通貨ドルとの固定為替相場は崩壊し、ドル危機が叫ばれたが、西側諸国は金からドルを外貨準備として保有するようになる。そうなると米国はドル紙幣を刷って貿易赤字拡大を続けることが出来た。90年代以降は、米国向け輸出を通じた経済発展の主役は、中国や東南アジアに移行。中国の経済力が米国と肩を並べるようになり対中国姿勢は強硬になっていった。戦後の世界経済のけん引役は変わるのだろうか。

▼米国の世界への需要提供は、国内には犠牲を出すことになった。没落の製造業群と白人中間層になる。彼らの反乱が分断を深刻化させている。政治の重要課題は彼らの再生になるはずだ。関税や補助金で製造業を復活させ、国内生産に切り替える政策案が民主、共和両党から出ている。戦後続いてきた世界経済の成長パターンの方向転換を意味するのだろうか。

2024/10/17