経済けん引役としての米国の役割は・・・②

米国内に何を戻すかだが、「ある製造業群と中間層が没落した」と言っても一人当たりGDPでは、2023年実績を見ると81,632.25ドルで世界6位と上位にある。ちなみに日本は、33,805.94ドルで32位だ。そう見ると組立加工など低付加価値の製造業までも米国内での展開は考えづらい。得意としてきた付加価値の高い半導体関連を中心としたハイテク関連産業、航空機、エネルギー関連などを中心となるはずだ。

▼またハイテク関連の産業においても組立加工の部分は、これからも国際的なエコシステムが維持されるに違いない。脱中国の中でどこの国がエコシステムに組み込まれるかは興味深いところだ。このエコシステムとは、生物学で、「特定の領域に存在する生物同士がお互いを必要とし、依存しながら生態を維持する様子を示す」言葉だが、転じて、「業界や製品がお互いに連携して大きなシステムを形成すること」を指す言葉として用いられている。

▼基軸通貨の面でも、注目されるのは経常収支にけるサービス収入が大健闘していることだ。2000年代後半以降に拡大し経常赤字抑制に多大な貢献をしている。サービス輸出の中身は、米国が強みとするデジタル・クラウドサービス、金融の仲介や助言、コンサルティングなどで、輸出金額は増えている。これらの輸出が更に拡大すれば、輸入財の資金確保に繋がる。ハイテクを軸とした株投機マネーの流入も強みであり、伸び続けると考えられる。

▼世界のGDPを見ると、2023年105兆ドルで米国が26.0%の構成比、中国は16.9%、ドイツが4.2%、日本は第4位の4.0%の状況である。中国は世界経済における2強の一角を占めている。ただ足元は不動産不況に見舞われ、それが供給過剰を生み、安価品の輸出をせざるを得ない状況にあり、結果的に世界に不況とデフレを伝播させていると思うと経済成長のけん引役は米国が有利に思う。それだから大統領選挙の結果が気になる。

2024/10/18