ドラッカー著『マネジメント』の解説を受けた思い出・・・④

「組織が自らの使命を果たすための目標なのに、含まれていないものがあるが気にならないか?」と上田 惇生先生は質問された。「利益」が入っていなかった。「これこそがドラッカーのマネジメント論の神髄になる」との解説だ。ドラッカーには、利益を企業の目標にしてはいけないという強いこだわりがあったという。企業は営利組織であって、利益を上げるために活動しているとの考えは、的外れであると指摘していたというのだ。

▼企業にとって利益が大切なものであるのは確かだが、「目的」であってはならない。利益は、社会の公器としての企業が存続していくための「条件でありコスト」ではあるが、決して「目的」としてはいけないと言っていたという。そもそも利潤(利益)なるもの、人の心には存在しない。物欲・性欲・食欲はあっても利益欲は存在しないもので、企業の経営者の姿を見ても、十分な資産を手に入れながら苦しくてプレッシャーの多い仕事を続けている。

▼企業は儲けることを目的に存在しているのではないし、経営者も私利私欲のために事業を行っているのではないというと、企業の目的はなんだということになる。ここでドラッカーの有名なフレーズになるのだが、企業の定義はただひとつ「顧客を創造すること」にあるとの主張だ。顧客の創造とは、顧客の潜在意識のなかには需要があるのに未だ商品やサービスとして形になっていないものを提供することを意味する。

▼この社会で暮らす人々に、便利さや快適、喜びを届けるために存在し、それによってよりよい社会がつくられていく。それが企業の存在理由であり、利益はそうした活動を続けて行くために必要なだけで、それ自体は目的ではないというのがドラッカーの考え方になる。ただ、利益は、企業が社会に対する役目を果たしているか否かを測るモノサシであることは事実。「プロフェッショナルとしての倫理」とともに不可欠でもあると言っているのだ。

2024/10/24