リスキリングを効果上げるのも基礎学力が・・・

所得・資産格差は欧米などと比べて少なく、欧米のようなポピュリズムは抑えられてきたのだが、今回の総選挙では、財源論を度外視した減税や給付を公約した政党が躍進した。消費税廃止、消費税率引き下げや所得税の基礎控除の引き上げなのだが、少子化対策を含む全世代型社会保障に大きな影響が及ぶことへの対応策はない。減税すれば経済が成長しその税収増で賄えるという主張だが、高度成長期を含めてそのような事例はないのではないか。

▼財源の裏付けがないまま大型減税策を公表して金利急騰やポンド急落を招き、トラス首相が辞任に追い込まれた英国の「トラス・ショック」に似た状況を誘発することはないのだろうか。コロナ禍に時限的に消費税減税を実施した英国やドイツは、引き下げ分の多くが事業者の利益拡大につながり、消費者の負担軽減効果は薄く、両国とも短期間で元に戻した事実もある。ただ、これらの公約が支持を受けた背景は格差問題の深刻化があるということだ。

▼総選挙では、幼児から高校生への経済的支援も掲げられたが、教育内容に関しては触れられなかった。10数年前になるが、コーネル大学を訪れた時に受けた印象、学生たちの学ぶ姿勢が頭から離れない。日本では、学費の問題と同時に教育内容に関しての議論が必要なはずだ。現行の大学制度は明らかに行き詰まっているように思える。国立大の法人化や大学院の拡充、専門職大学の創設などの改革が進められてきたが、課題の解決は成されていない。

▼現行の教育制度が導入された時期は、平均寿命は50歳程度だったが、今や80歳ほどになっている。加えてデジタルやバイオ技術などが急速に高度化し、社会情勢も複雑になっている。AIを理解するには理系知識の基礎も不可欠のはずだ。ウクライナや中東問題も、歴史や地理、政治、経済などの知見が求められる。リスキリングを効果的に行うためにも基礎学力がものをいう。3年生から就活を強いられる大学教育の在り方も議論すべきと思う。

2024/11/12