大学教育の在り方も議論すべきと記したら、4年制の延長は「御免だ」との連絡を受けた。1歳になる前から保育園に預けられ、小学校低学年の間は学童保育、高学年になったら中学受験の準備で塾へ、高校受験では苦労し、大学は推薦入学できたのだが、大事な時期を失したという事だ。ただ、高齢者の雇用延長、デジタル化などの社会変化に伴い、社会人向けの教育が注目を集めていることを見ると、就職のための大学の在り方で良いかと思うのだ。
▼社会人教育が注目されているが、ひとつは高齢化があげられる。「高年齢者雇用安定法」により、企業は65歳までの雇用義務、70歳までの雇用努力義務が課せられた。働く機関が長くなることで、就業上のスキルを学ぶ必要に迫れている。また、定年後の期間が長くなることもあり、その期間を有効活用し、セカンドライフを楽しみたいという面でも、生涯学習の需要を喚起しているように思える。
▼もうひとつはデジタル化により、AIやビックデータ活用がビジネスの主流になりつつなることによるものだ。多くの現役世代にデジタル領域の知見が求められるようになって来ている。企業側も競争力強化のために従業員のスキル習得に力を入れている。現役世代の学び直しは、世界的にも活発化しているのだが、残念ながら日本は他の国に比べ、社会人教育の普及が遅れている状況のようだ。
▼欧米ではMBA(経営学修士)といった学位や資格習得に対して、待遇が向上するなどメリットが明確なのだが、日本の企業はスキル獲得に対する評価制度が十分に整備されていると言い難い。しかも、若い世代には時間的のも、経済的、精神的にもゆとりがないのだ。学ぶ意欲はあっても行動に移せない人が多いように見受けられる。就職はその人の持っている能力や得た技術力に準拠すべきだが、未だ大学に所属した事実を重視する企業も多い。
2024/11/14