セブン&アイ・ホールディングスが創業家の資産管理会社から買収提案を受けた旨の報道があった。創業家が検討しているのは伊藤家と伊藤忠商事といった事業会社などと連携する枠組みでの買収のようで、メガバンクなどの協力も関係する。創業者の伊藤雅俊氏のご子息である伊藤順朗氏は、スーパーや外食事業などを束ねる中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」に軸足を置くのかと思っていたのだがコンビニ専業化を進める考えなのだろう。
▼今年1月、大正製薬ホールディングスが、創業家の上原茂氏が代表を務める会社が仕掛けたMBOの一環としてのTOBが成立し、上場廃止で「上原家の会社」になるという事例があった。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む企業に東京証券取引所が注意喚起し、経営改革案の策定を要請したことがきっかけになっての事で、MBOで上場廃止を選んだ会社は外にもベネッセHD、シダックス、岩崎電気など数多くある。
▼セブン&アイの創業家主導による株式非公開化は買収防衛策なのだろうが、買収提案しているアリマンタシォン・クシュタール(ACT)は、7兆円規模の提示をし、現在、社外取締役で構成する特別委員会が内容精査の段階にある。MBOでも額は同規模になるだろうから、実現の壁は高い。大正製薬ホールディングスのケースが7100億円規模であるから、経営陣以外の出資者がどれ程集まるか、巨額融資に金融機関が応じられるになりそうだ。
▼ACTが額をさらに引き上げた場合、買収合戦に発展する可能性もある。日経新聞(4日)「経営の視点」で、田中 陽氏が書いていたが、セブン&アイはACT社が待ち構えるリングに自ら上がり、「もっと高値で出直してこい」とファイティングポーズをとってしまったようだ。株価の議論よりも社風、理念を擦り合わせるリングに誘い込むべきではなかったか。社外取締役は、日本独自の商業思想、商業倫理をどこまで意識しているかを考えさせられる。
2024/11/17
