兵庫県知事選の話題で持ちきりだ。マスコミ各紙はSNS上での支持が明暗を分けたと報じている。解禁から10年超がたつインターネット選挙の光と影を映し出した格好になる。前知事の街頭演説の動画が拡散し若年層の支持を集めた反面、告発文書を巡る様々な情報や臆測が飛び交うという異例の展開となったようだ。苦戦が予想されたのに14万票近くの差を付けて勝利したのはSNSでの支持が拡大し自発的に集った支援者らに因るものだ。
▼SNSを駆使し、選挙戦で善戦する事例が続いている。選挙演説の印象的な場面で短い「切り抜き動画」を作り、見出しを付けて配信することで知名度を高めたり、「手取りを増やす」政策を訴え連日自身のユーチューブの生配信を続けたりの躍進だ。昔から「どぶ板選挙」という言葉がある。有権者に会うために民家一軒一軒を、各家の前に張り巡らされた側溝(ドブ)を塞ぐ板を渡り回り、支持を訴えた事だが、「ネットのどぶ板」と表現できる。
▼米国大統領選挙でも、大方のマスコミや専門家の予想に反して、トランプ氏の大勝で、即日即決で決まった。再集計を要求することさえ必要のない大差であった。評論家は、「隠れトランプの存在」、民主党支持層のなかの低所得者層がトランプ支持に集まった。バイデン政権下でのインフレ対策に対する不満が急激な変化をもたらせたと言っているが、これらを織り込み済みでの各種予測が狂ってしまった。急に票が動いた原因は何処にあったのか不明で疑問に思う。
▼この動きを上手く紐解き、解説した小論文をお送り頂いた。コーネル大学RMPジャパン11月の講義を担当頂いたJMR生活総合研究所の代表取締役社長の松田久一氏の『「消費社会白書」で分析するアメリカ大統領選の接戦予想のはずれ』である。「トランプ氏とハリス氏のマーケティング戦略」、「敗者連合の社会集団の出現」、「敗者連合の出現による大統領選の雪崩現象のメカニズム」などの項目でアプローチされ、面白く腑に落ちた。マーケティング関連の情報多くを惜しげもなく掲載しているので、JMR生活総合研究所のホームページに掲載されるはずなのでご覧頂くことをお薦めする。
2024/11/22