「『遺伝子から食卓まで』を網羅する食品業界にとって、とてもエキサイティングな時代」との講義を受けた。コーネル大学RMPジャパン13期開講記念セミナーでコーネル大学のMiguel I. Gómez教授の講義のなかのフレーズだ。「食は必要なもので、我々をつなぐものであるーこの取り組みの一端を担っていることを誇りに思うべきである」と語ってくれた。勿論、食品産業を取巻く環境の厳しさを指摘したうえである。
▼「食物は、単なる栄養以上の何かを与えてくれる。」とは、ユネスコの食の無形文化遺産お考えで、料理だけでなくその慣習や知識、伝統が大切に込められているとある。ただ、足元では、食料の安定供給と地球環境の両立に向けての対策は急務な状況でもある。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を見ても広範囲にわたる体系的な目標達成のための時間は6年しか残されていない。食品スーパーは、何をする必要があるかを考える必要がある。
▼地方の衰退と農業の凋落を止められない中にあって、業界として考えなくてはならないことはたくさんあるはずだ。政治にも積極的に関わる必要すら感じる。農業の振興は、日本が持続可能な社会を目指すうえで最も大切なひとつであろう。農業従事者(普段仕事として主に自営農業に従事している人)の推定値だが、23年での従事者は116.4万人(うち女性45.2万人・うち65歳以上82.3万人)で平均年齢は68.7歳になっている。
▼食ビジネスに関して、農業振興だけではない事はよくわかる。ただ、重要な国の目標のひとつであるはずだ。具体的には、食料安全保障を確保するために食料自給率を高める必要があること。輸入依存度を低めればGDPを定常的に成長することにもつながるはずだ。地方を活性化する為にも重要だ。それは一極集中を分散化することにもなる。なにより伝統的地域や伝統的文化を継承、発展させ日本人の精神性の質的向上を高めるためにもだ。(つづく)
2024/11/27