若者世代の価値観と職業観は・・・

「マズローの欲求5段階説」を知らない人は少ないだろう。人間の欲求を階層的に整理、成長や動機付けのプロセスを説明した理論になる。この理論は、米国の心理学者アブラハム・マズローが1943年に発表した論文「人間の動機付けの理論」で提唱された。人間の欲求を5階層に分け、それぞれが段階的に満たされることで次の欲求が現れるという基本的な枠組みを示したもので、教育や経営学など幅広い分野で活用されている。

▼人間の欲求の5つの段階を「生理的欲求」:生命を維持するために必要な基本的欲求、「安全の欲求」:安全で安定した環境を求める欲求、「社会的欲求/所属と愛の欲求」:他者とのつながりを求める欲求、「承認の欲求」:自己評価や他者からの尊重を求める欲求、「自己実現の欲求」:自分の可能性を最大限に発揮する欲求に分類した。これらの欲求は、下位の欲求がある程度満たされると、次の階層の欲求が現れるという順序性を持っている。

▼必ずしもこの順序が固定されているわけではなく、個人や状況によって異なる場合があるのだろうが、『革新的企業に求められるマネジメントとは』と題して、若者世代の価値観と職業観に関する記事が載っていた。コーネル大学RMPジャパンの1月の講座を担当頂いている、中 麻弥美先生が執筆されている。昨日記したZ世代を知るという意味でも興味深く読ませてもらった。

▼若者世代の職業観をこの5段階説に当てはめてみると、低次元レベルの欲求は既に満たされており充足された生活は維持しつつ、本来の承認欲求に移ることなく、最終段階の自己実現欲求に向かうという。しかも、職場やビジネスで能力を発揮し成長したいと願う自己実現欲求を目指すのでなく、どちらかというと自分の趣味や推し活に自己充足の欲求を求めている傾向が強いと言っている。ビジネスをベースとして人間の成長を育んでいくという職業観は薄らいでいるように感じるとあった。人材マネジメントも変わる必要があるようだ。

2024/12/27