(昨日からのつづき)
- リアル店舗の存在感は不変
米国Instacartのスマートカートは買物に便利だ。バスケットにはカメラが内蔵されているので、通路を歩きながらカートに商品を入れるだけで、自動的に料金が精算される。皆さんは、日本における在庫管理ロボットが業務の効率化に役立っていることはよくご存知だろう。また、店内フルフィルメントストアや、マイクロフルフィルメントセンターに転換されつつあるダークストアなど、敖多くの新しいイノベーションが生まれているのだ。AIソリューションは急速に登場しており、労働力の課題の一部を相殺しつつ、顧客のショッピング体験をより向上させるはずだ。お客さまは食事やレシピの計画にAI対応ツールも活用している。大手小売事業者では、お客様にパーソナライズされた広告を具体的に提供して、より多くの商品を販売すると同時に、適切な商品を提案する方法を模索し始めている。

ダニエル・W・フッカー コーネル大学教授
ところで、何年もの間、私たちは同じ話を耳にして来た。それは、「実店舗の小売業は衰退し、eコマースの台頭に取って代わられるはずだ」と。
しかし、現実は伝統的な小売業は生き残っているだけでなく、繁栄しているのだ。その秘密は、テクノロジーとともに進化しながらも、最も得意とする分野に根ざし、デジタルプラットフォームでは代替できない買物体験を提供する能力にある。
買物は単なる取引ではなく、つながりが重要なのだ。店員との会話から、自分で商品を選ぶことまで、実店舗はオンラインショッピングにはない「人間味」を提供する。店舗はコミュニティの中心地なのだ。食品スーパーは、従来のショッピングと最新のテクノロジーを融合し、クリックアンドクリックサービスや新鮮な地元産の商品を提供し続けているのだが、このハイブリッドなアプローチで、実店舗が常に存在感を保つことが出来ている。お客様は、体験、店内イベント、ワークショッフでのデモ、ショッピングの魅力など、eコマースでは実現できないものを願っているのだ。
教訓的な話で締めくくりたいと思う。それは、米国の大手食品スーパー、「A&P Company」の衰退についてだ。私が思うに、A&Pが失敗した破大の理由は、顧客を忘れたことにあった。そして、リアル店舗を運営し、お客さまと顔を合わせるスタッフに対するケアも忘れてはならなかったのだが、できなかったことがその理由なのだ。ご清聴を感謝したい。
2025/01/05
※ お二人の教授から資料(スライド)を用意頂き、それを使用して理解が深まる講演でしたが、資料等を掲示するスペースもなく詳細までご報告出来ずお許し下さい。なお、このプログラムや講演内容に興味をお持ちの方は、事務局までお声掛け下さい。
