戦略的思考法を鍛える為、戦略観の整理を・・・

戦略的思考法を鍛える為にも、5つの戦略観を整理しておきたい。学派の変遷になるのだが、互いに対立し相容れないものではない。それぞれの学派が生み出して来た過去の貢献蓄積を無視することはできない。特に「戦略計画」学派の戦略的意思決定の概念や戦略と目標の関係、戦略にするには何を決める事か、どのような手順で策定をするのか等の考え方はどの時代でも活用される。SWOT分析なども戦略の選択肢を生み出す道具になるのだ。

▼戦略計画(学派):戦略とは、組織全体の目標に向かってそのメンバーの活動を整合化させる計画(プラン)のことである。そのプランを体系的に、抜けなく、合理的に作成する手順(作法)があるはずで、その作法を明確化し、体系化することが経営戦略論の課題になる。戦略計画学派とは、戦略策定の手順を明確に言語化することを重視した研究者たちのことである。変化の激しい時代においては、変化に応じた計画修正を都度行うことが求められる。

▼複雑な意思決定を素早く再現性高く行うため、議論のステップまで明確に示すことが求められたのだ。戦略計画学派の理論は、今日においても経営戦略を語るうえでの基盤であり続けている。企業経営が合理的であろうとする限り、経営戦略の根幹であり続けるはずだ。ただ、問題点は、使用する側で誤用が多いことである。SWOT分析での使用時もそうだが、フレームワークを使うと分析できた感が出てしまい、次の行動に結びつかいない事が多いのだ。

▼次に創発(学派)だが、「戦略」などという格好のよい言葉と実務での実態は違う。目の前に現れた機会や脅威にその都度適応してきた結果、後で振り返ってみるとパターンがあったのでそれを「戦略」と呼んでいるだけだ。戦略は現場の相互作用の結果として事後的に創発するものであるという考えで、トップが事前に決め打ちする「戦略」を重視するよりも、現場に自由度を与え、わき上がってくるアイデアを重視し、そこでの成長ポテンシャルを活用するのが適切であるというものになる。(つづく)

2025/01/26