生産抑制にとらわれすぎ・・・

農林水産省は政府保有の備蓄米を、流通に支障が出たときにも放出できるよう運用ルールを見直した。これまでは、備蓄米放出を大凶作などに限ってきたが、今後はコメの流通が目詰まりを起こしたときも放出できるように変更したものだ。米価高騰は23年の不作がきっかけになる。昨年はコメ不足による品切れが続き高騰、新米が出回り始めた後も高止まりが続いている。先高を見越した集荷業者が在庫を抱えるなどが背景にあるとみられている。

▼当初は、備蓄米の放出を否定しており、そのことが米価上昇を招いた面もある。家計への影響が深刻になったため、放出を視野に入れることにしたようだ。コメの過剰と不足という両方に目配りし対応する事が課題になる。政府備蓄米を機動的に活用し、供給と価格を安定させる取り組みが必要になる。コメがどの位余っているかの認識が放出判断の前提になると思うが、今回の騒動の過程では、民間の在庫量を把握できていない実態もあったようだ。

▼稲作を取り巻く環境は激変している。人口減少と高齢化で消費減少が続く中で、猛暑などの異常気象で突然コメが足りなくなる懸念が強まっている。長期的には農家の数が大きく減り、コメ不足が頻発する展開も危ぶまれる。備蓄米の放出で値上がりが落ち着く可能性はあるが対症療法でしかない。それなのに放出に踏み切るのにさえ時間がかかってしまうのは、流通量の急増による値崩れを、これまでは過度に警戒してきた政策があるためだ。

▼生産抑制に重点を置き、消費者への意識を欠いてきた長年の農業政策のツケの結果との声もある。24年産米の収穫量は前年産より18万トンも多いので絶対量が不足しているとは考えにくい。にもかかわらず卸間取引のスポット価格は高騰しているという。一部の卸業者には、1キロ341円の関税を払ってでも輸入する動きがあるという。民間輸入の活用による外食や業務用米とのことだが、需要にあった深刻なコメ不足は年が明けても続いているのが足元の状況だ。

2025/02/05