ドラッカーは、マーケティングの元祖は日本の三井越後屋だと述べている。江戸時代に、正札販売や大福帳を使った顧客データベース管理など先駆的なマーケティングを行っていたと評価しているのだ。マーケティングで大切なことは、顧客のニーズに合った商品(製品)やサービスを創造し、必要としているターゲット層に知らせ、いかに購買してもらい、信頼を得て継続して購入してもらう。さらに友人や知人にそのよさを伝えてもらうことになる。
▼ニーズとは人々が必要とすることを意味するのだが、把握にはヒヤリングや調査が重要になる。マスメディアは依然として強力なメディアだが、インターネットの発達もあり様々なメディアが増えている。SNSの普及は、自分の意思とは異なるものでも、他人が薦めているものに関心を持つことも多くなっている。コーネル大学RMPジャパンに出講頂いているJMR生活総合研究所の松田 久一氏は、この影響力を「雪崩現象」と捉えて事例研究を行っている。
▼勿論、顕在化していないニーズを生み出すことも大切になる。Apple社のスティーブ・ジョブスが「顧客は自分たちが欲しいものは知らない」と言ったことは有名だが、顧客の声を聞くマーケティング調査ではゼロから1を生み出せないのではないかという背景もある。試作品をつくり、実際のユーザーの反応を見ながら完成させていく手法で、注目されているのが「デザイン思考」という考え方になる。
▼コンサルティング会社IDEO社のティム・ブラウンが『Harvard・Business・Review』誌で発表したもので、目の前にいるターゲットを観察し、製品(商品)やサービスを生み出していく方法になる。P&GやGE、サムソンなどが導入したことから世界的に注目されたものだ。食品スーパーでも、売場で「生活提案」を続け、食に関するソリューション力をつけることで成長を続けている企業がある。提案を受けて、欲しかったものを知るという事もあるのだ。
2025/02/09