売れる理由、売れない理由を深掘りする必要が・・・

国内のここ2週間の小売企業の動向をみると新しい時代に入った感がある。コーネル大学RMPジャパンの2月の講義の中にも価値観を転換する必要を説いた内容が随所にあった。取巻く環境をもっと大きく考えて食品スーパー経営に活かすことの必要性を再認識した格好だ。これまでの強みが変わるはずで、それに対する対応にも取り組む必要がある。コトラーの「マーケティング5.0」の世界は伝統的な食の世界でも対応する必要があるのだ。

▼コトラーは、「マーケティング4.0」の中で、「『従来型からデジタルへ』シフトしたマーケティング手法」と言い、デジタルツール時代のカスタマージャーニーを「5A理論」(Aware・Appeal・Ask・Action・Advocate)として展開して来た。「マーケティング5.0」は、デジタルを活用した人間志向をさらに推し進めたものになる。2つの規律と3つのアプリケーションが構成要素として提示されているが、注目はこの提案がされた背景なのだ。

▼マーケティング思想は、優勢な世代の変化によって推移して来た。「マーケティング5.0」は、Z世代からその後のα世代への対応になるのだが、食品スーパーもこの世代の価値観をこれまで以上に意識しないわけにはいかないはずだ。その事を踏まえ、取巻く環境を見直すことの必要を痛感した講義内容であった。頭では理解して来たつもりであったが、実際の行動は、ベビーブーム世代からX世代、せいぜい「マーケティング2.0」の思想止まりであったのかも知れない。

▼環境や人口、社会の動きといったマクロトレンドから見る際も、具体的な商品動向を見て行かないと古いカテゴリのままで判断してしまい、現場での対応が遅れてしまいそうだ。気温と商品動向を表す「商品前線」が意味をなさなくなっている。昨年の実績を見ても、春や秋が極めて短くなってしまったが、「四季をなんとか感じたい」という葛藤もあり、「涼を感じながら春・秋らしい食品」に惹かれる消費が見られていたのだ。「暑い夏」は四季への欲望を高め、新たなヒット商品を生んでいるのだ。「ご飯スキップ」にも業界としての対応が必要になるのかも知れない。

2025/03/15