異常気象の増加で変わる食卓・・・

2024年の日本は「観測史上最も暑い夏」を経験した。6月から8月の平均気温が前年と並ぶ1898年の統計開始以降最高気温を更新。10月に入っても季節外れの暑さが続き、真夏日が約4ヶ月続く事態でもあった。国連の報告では、25年は「人類史上最も暑い年」となる可能性が高いとされ、異常気象の増加が懸念されている。ここ数日の天候の豹変も、異常気象の現れになるのだろう。雪や雹に凍えた翌日はポカポカの陽気という具合だ。

▼今年も不漁・不作による購買行動の変化が生まれそうだ。高温化は不漁・不作を引き起こしている。昨年は、鮮魚部門ではサバや鮭、昆布、青果では、さくらんぼや梅、リンゴなどの果物が大きな影響を受けたが、特に米は深刻で、食品価格の高騰につながっている。POS情報など貴重なデータを提供しているインテージが発表した「2024年、売れたものランキング」ではトマトジュースが4位、「冷凍水産」が9位にランクインしていた。

▼これらは鮮魚・青果が高騰化したことによる代替品として購入されたと考えられる。足元の価格高騰化の影響もあるだろうから、今年も代替目的の購買が他ジャンルでも見られそうだ。また、異常気象は人々の嗜好性を変化させ、四季への欲望が強まる傾向が出ると思う。南国的な料理や味、食品に自然と惹かれることになりそうだ。再ブレイクを果たしたアサイーは、アマゾンのスーパーフードであり、ハワイで人気になった南国の植物なのだ。

▼加えて、インバウンドの影響、国内での外国人増加で「アジア食」への興味が高まっている。昨年は、「午後の紅茶 Sparkring<ライチスカッシュ>」(KIRIN)や「ほろよい<台湾ライチ>」、「クラフトボス<トロピカルティー>」(サントリー)などの発売があった。メキシコのタコスをはじめ、ベトナム料理の専門店の増加などもトレンドとなりそうだ。一方で、春や秋に“割り込んでくる夏”に対し、「四季を感じたい」という欲求もSNS等で見られた。「涼を感じながら春・秋らしい食品」に惹かれる感覚、今年も見られるのではないだろうか。

2025/03/24