昨日の続きになるが、島田 陽介氏の話は次のような内容であった。「米国視察」をするチェーン企業が減って来ている。理由の1つは、米国チェーンを超えるチェーンが育ってきたことで、その例の1つが「外食業」である。FFSの分野では、マクドナルドやケンタッキーなど成功例もあるが、ドーナツでは「ミスター・ドーナツ」が圧倒的に市場を抑えている。元々は、米国をお手本に日本企業のダスキンが開業したチェーンである。
▼だが、「学んだ」のは、米国のドーナツは「お菓子」ではなく、ファスト・フードという事実だけである。開業直後こそ米国のコピーをしたが、すぐに自力開発の必要に気づき、ほぼすべての商品をコピーではなくオリジナルに開発することになった。いまや本家の米国をはるかに凌ぐ、世界でトップのドーナツ・チェーンになったという。同じことは「ファミリーレストラン」にもいえる。
▼「デニーズ」はイトーヨーカドーが米国チェーンである本家「Denny’s」と提携して開業した。この場合も、当初は米国のDenny’sと同じメニューで開業した。だが開業してすぐ、そのまちがいに気づいた。ファミレスに期待するものが違っていたのだ。日本でのファミレスは特別に張りきっていく店だった。イトーヨーカドーは間違いに気づき、メニューを日本独自のものに一新した。今日まで経営を推進してこられたのは、この初期の決断による。
▼この場合も、米国を視察することには意味がないことが明らかだった。米国Denny’sを参考にしない事で成功したのである。コンビニエンスストアは改めての説明は不要だろう。重要なことは、ファミレス・ファストフードもコンビニも、ヒントそれ自体はたしかに「米国」にあった。米国抜きでの成功は生まれなかっただろう。「視察」を「摸倣」のために行うのではなく、それをヒントにして後は自分で考えたこと、それこそがこの2つの「業界」の成功の理由である。最近の日本の業態変化を改めてみるべきだ。
2025/04/05
