米小売業、「ソーシャルコマース」という動き・・・

1月のNational Retail Federation(全米小売業協会)による「NRF2025:Retail’s BigShow」は、「AIが小売を変革する」をテーマに開催されたのだが、なかでも生成AIとエージェンティックAIに注目が集まり、あらゆる施策にAIを組み込み使いこなす米国小売の姿を見せた。このNRF2025のテーマは「ゲームチェンジャー」。文字どおりAIが小売のゲームを変えるというわけである。

▼米小売業界を取り巻く環境は相変わらず厳しいままのようだ。インフレ率は高止まりしたままで、金利もそれに準じて低くならず、消費者の生活防衛意識は高まっているという。サプライチェーン全体でいっそうの効率化を図ることは不可欠になる。小売業界の労働力も余裕なく、現場の熟練度不足も続いている。余計な仕事を減らし、働きやすい環境とツールを用意して離職率を低減しながら、効率的でよりよい顧客体験を提供することは喫緊の課題である。

▼その顧客体験だが、顧客情報や行動データなどを活用し、オンオフの境目をなくしたパーソナライズされた顧客体験の提供を進めている。それら実現のために適切な投資をし続けるには、収益確保を実現するツールや武器が必要で、新たな収益源として「リテールメディア」や「ソーシャルコマース」が注目されている。「ソーシャルコマース」とは、InstagramやTikTokなどのSNSでインフルエンサーのコンテンツを介して買物を行うことである。

▼TikTokの物販だが、名称はTikTokショップ、コンテンツ配信者が商品を売ることができる機能で、24年の総額は90億ドルとスタートから1年程度で1兆円を超えるという規模になっている。このソーシャルコマースだが、急速に伸び続けると予測されており、多くのリアル小売が新たな流通チャネルとしての挑戦になっている。Eコマースと同様に、ソーシャルコマースも小売業にとりまったく新しい機会となる。これも米国小売業がどう取り組みが進んでいくのか注目の分野だ。

2025/04/07