顧客の購買行動は、認知から始まる「ファネル(漏斗)」で捉えるのが一般的であった。顧客をどれだけ多く獲得するかがゴールであったわけだ。顧客数を最大化するには、認知を広め、可能な限り認知者に理解や興味を深めて貰うといったブランドとの関係性をより深い段階へと移動させることが重要であった。認知を拡大するには、コミュニケーション施策により多くの投資をする必要があったのだ。主戦場は「買ってもらう」ことにあったのだ。
▼しかし、最近は商品やサービスの均質化が進み、機能や性能で大きな差異化を図るのは難しくなって来ている。特にミレニアル世代以降は、何を所有するかより自分がどう感じるかに重きを置く傾向が強いといえる。ブランドや企業に共感してもらい、ファンになってもらうことが求められる時代が来ているのだ。食品スーパーにおいてもPB商品のウェートが高まる傾向が続く中にあって、新しいマーケティングを意識する必要がある。
▼最近の顧客はブランドや企業の何に共感するのであろうか。食品に限定するのではなく広い意味で考えてみると、これまで重要とされてきた機能や性能には、感嘆することはあっても共感はしないという。共感を得るには商品やサービスの背景にある世界観やストーリーの存在ということになる。コーネル大学RMPジャパン2月講義の内容整理をするに使用した『超図解・新しいマーケティング入門』(日経BP)に詳しく載っていたのだ。
▼世界観やストーリーに顧客は親しみを感じ、自分の感性と重ね合わせ、時には周囲に語ってブランドに対する共感の輪を広げてくれる。言い換えると従来CRM(顧客関係管理)として捉えてきた領域の重要性が増し、買ってもらってからが主戦場となりつつあるということだ。生活者自身が情報発信の主体となるのだから、商品やサービスの不満点に関する声を丁寧にくみ取り、改善に向けたヒントにつなげていくことが求められる。LTV(ライフ・タイム・バリュー)やNPS(ネット・プロモーター・スコア)といったファン化を測る指標で評価することが求められはじめているようだ。
2025/04/09
