小売市場の勢力図も、“大再編劇”とも思われる動き・・・

コーネル大学RMPジャパンの修了研修を考える時期になった。毎年7月に実施するのだが、トランプ大統領の政策を巡って、小売業を取り巻く環境は、どう変化しているか注目だ。米国小売業の強さを再認識しておく必要がある。たくさんあるが、集約すると、合併のマネジメント力(統合後の成長マネジメント・革新力)、武器となるストアフォーマット力(ビジネスモデル)、自社ブランド商品開発力(PB商品とブランディング修正力)と思える。

▼特に合併による革新力には、目を見張るものがある。クローガーとアルバートソンの合併計画は、中止になったが、日本でも上位集中現象は米国に近づくと考えられる。直近の「西友」を巡る動きを見ても、特に食品小売を中心に業界の全容は激変しつつあるようだ。今年の年初からKKRによる西友株売却の意向が報じられ、イオン、PPIH、そしてトライアルの3社が関心を示していると業界誌を中心に報道されていた。

▼「PPIHが最有力、次にイオン」という見方が大半であったが、最終的に手にしたのはトライアルで、約3800億円という買収総額は割高との評価も出ているが、総店舗数は240超、しかも首都圏の駅前など好立地店も多い。これに生鮮・総菜のプロセスセンターや物流拠点、そしてさまざまなスキルを有する人材が加わるとなれば、西友獲得のメリットはきわめて大きいと見られる。トライアルHDにとって必要不可欠なM&Aだったのだろう。

▼セブン&アイの「スーパーストア事業グループ対象会社」29社を統括する中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」の米投資ファンド「ベインキャピタル」への譲渡。イオンのグループ再編への動き。「ロピア」のFC店舗による出店、「クスリのアオキホールディングス」のSMを買収して生鮮強化型のフード&ドラッグフォーマットの出店を進めるなど、新しい取り組みも活発になって来ている。日本の小売市場の勢力図も、“大再編劇”とも思われる動きのなかで、根本からその姿を変えようとしているようだ。

2025/04/10