新年度となり、多くの職場が新社会人を迎え入れた。コロナ禍の影響や相次ぐ紛争、AIの台頭など、激動のなかで学生期を過ごした世代であるので、危機意識や成長意欲は強いものと思われる。就職戦線は、空前の人手不足でもあり、働く側が会社を選ぶ時代になった。初任給の引き上げ競争などで新人確保に走る動きもあるが、仕方ないことなのだろう。入社後に一人ひとりの成長を支える体制を企業が構築し、個々人の市場価値を上げて欲しい。
▼米国の話題になるが、全米小売業協会(NRF)の「State of Retail & the Consumer 2025(小売業と消費者の現状2025)」で明かされた「Walmart」の店長給与の高さに驚いた。米国内に約4,000人の店長がいるのだが、今年1月、士気と定着率を高めるために業績の良い店舗のマネージャーに多額の報酬を支払い、総報酬を42万~62万ドルに引き上げたとある。”できる店長”になると1ドル150円換算で年収9,300万円になるのだ。
▼店長の平均基本給は13万ドルから16万ドルに引き上げられ、残りの約50万ドルは多額の株式付与と年次ボーナスで構成しているという。高かった離職率削減のために大改革を行った結果だ。大盤振る舞いに思えるが、引き上げを可能にしたのは、生産性が向上した事にある。特に従業員用アプリ「Me@Walmart」の導入効果が顕著のようだ。アプリ導入と、便利な機能を増やしたことで従業員の技術と意志の大幅な改善に成功したようだ。
▼Walmartの従業員用アプリは、働き方までもパーソナライズしているようだ。顧客用のストアアプリは、導入後、アップデートを繰り返しているとの情報が流れていたが、データ活用しながら買物をパーソナライズ出来るようにしたのだ。この買物のパーソナライゼーションが功を奏して直近の四半期まで42四半期連続で前年を上回っている。驚くほどの投資により生産性向上&効率化で売上高が爆発的に伸び、店長にアメリカン・ドリームを成就させることが可能になっているようだ。
2025/04/11
