マーケティングに「個別化」の動きが鮮明に・・・

小売業の「パーソナライゼーション(個別化)」を話題にしたが、ある時期まで「個別化 = クーポン」の公式が成立していた。しかし様々な選択肢が増えた現在は、ロイヤリティプログラムを「個別化」する手法はクーポンに限ったことではなくなった。価格や販売促進、品揃え、ECサイトのレイアウト、各種情報の発信頻度やチャネルなど、カスタマージャーニー上にある全てのチャネルとタッチポイントにおいて「個別化」を行うことが可能になって来ている。

▼言い換えれば「個別化」は顧客と1対1のエンゲージメントを築くカギになり、その為のエンジンがAIという事になるのだろう。その観点で、米国小売業で起こっている状況を整理してみるとAIを活用した個別化へのアプローチがハッキリしてくると思える。顧客エンゲージメントと企業成長につなげるために注力すべき個別化とAIの組み合わせを見てみたい。マーケティングにパーソナライゼーションの動きが鮮明になるはずだ。

▼先ず「リアルタイムイベント処理」で、これは顧客の行動だけでなく、その瞬間の意図や感情も含めたデータをリアルタイムで取得・分析し、一人ひとりに最適化された体験を提供する手法であり、ネット閲覧履歴、移動情報、天気、購買履歴などを組み合わせて即座に顧客ニーズを読み取り、対応することが可能になる。次が「行動基盤モデル」で、過去の顧客行動だけでなく、その瞬間のコンテキストも踏まえて次の行動を予測するAIモデルとなる。

▼この他に顧客にとって最適なタイミング、チャネル、内容で情報や提案を届けるもの。AIと行動基盤モデルを活用し、リアルタイムかつ「個別化」された情報をお客様に提供する仕組みなどの展開が始まっている。ロイヤリティの「個別化」は当たり前になって来ている。AI技術によって“不可欠”なものとなりそうだ。ロイヤリティは課題ではなく、どの方法で価値を提供するかの方法を決定する戦略そのものになって来ているのだ。

2025/05/01