小売業界に就職した新入社員教育プログラムに出講する機会がある。米国の業態「ボックスストア」を紹介すると興味深く思うのか質問が多くなる。「ボックスストア」とは、配送時の梱包箱のまま店内に配置して販売する形態のことで、日本では、「Big-A」が代表である。商品を少しでも安く売るために、店作りや運営にコストをかけない手法で展開している。通常の食品スーパーの7割以上が揃う商品構成となっている。「ALDI」が、世界的に有名だ。
▼興味を持ったのは、ALDIの店舗写真を見て、レジ係りが座っていることに注目した結果だ。日本でも昨年、食品スーパーのレジ係が「立ったままの接客」を強いられている事に話題になった。一部メディアは、座ったままのレジ打ちは海外では一般的と報じてもいたが、米国ではレジ係りが座っている店舗は見たことがない。日本の流通業より5年~10年先をいく米国であっても少数派と思う。ALDI以外は、座ったままのレジ係りはないと思う。
▼米国に約2,500店を展開しているドイツ資本のALDIだが、座ったままのほうがスキャンスピードは高まるとの理由を明らかにしている。レジ係は座ったほうが効率的というのだ。常にチェックアウトスピードを測定しており、1分間あたりのスキャン点数スピードがKPIとしてモニタリングされている。1分間に60点のスキャニングスピードを100%として、研修後の1分間に平均50点未満、83%のスピードはレイオフの対象となるという。
▼ただし、高齢者などから「せかせないで下さい」「遅くして下さい」との要望があれば、効率性よりカスタマーサービスを優先することを許可されている。レジでの効率化は、複数ある商品バーコードにも表れている。取扱商品の約9割がPB商品になるが、商品パッケージの多くの面にバーコードが記されている。スキャンする際にバーコードを探す手間を最小にするためだ。全てがローコストオペレーションを目的にした効率化にあるというわけだ。
2025/05/03
