よりデジタル化・パーソナライズ化・地域密着型にシフトする・・・

「Walmart」は、富裕層向け「Next-Generation Supercenter」(次世代スーパーセンター)を、テキサス州ヒューストン郊外に開店した。この店舗は「未来の店舗(Store of the Future)」として開店が予定されている150以上となる新店や改装店のプロトタイプストアの位置づけになっているようだ。アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊氏のレポートによると、「顧客中心」の戦略を体現するものであり、最新のテクノロジーを導入しながら、利便性・スピード・サービス品質のすべてを追求しているとある。

▼これまでの倉庫型量販店スタイルにとどまらず、顧客との接点をより豊かにするための工夫が詰め込まれている最新店とある。具体的には、店内設計を大幅に刷新、より直感的な買い回り導線が確保されており、カテゴリーごとのレイアウトが最適化されて、買い物客は目的の商品に短時間でたどり着くことができる。また、デジタルサイネージやインタラクティブ・ディスプレイが随所に配置され、商品情報へのアクセスが格段に向上しているのだ。

▼Walmartの売上構成比の18%に達するEC展開を更に進めており、オンライン注文からカーブサイド・ピックアップの受け取りや当日宅配での効率性が強化されているという。また、「オムニチャネル・リテーラー戦略」を強く印象づけ、店舗のいたるところにQRコードが表示され、デジタルツールやリソースが利用でき幅広い品揃えにもアクセスできるよう工夫もされている。もう一つの注目点は、地域コミュニティとの共生で、地元ベンダーとの協業を促進し、ローカルブランドや特産品を取り扱うスペースを設けている。

▼高効率のLED照明や電気自動車(EV)用の充電ステーション、リサイクル素材の利用など環境にやさしい設計でサステナブルな配慮も随所に施されている。単なる低価格リーダーではなく、テクノロジーとホスピタリティで勝負する「顧客体験のリーダー」として再定義されるであろう。この店舗で試される新たなアイディアや設備、サービスが今後Walmartのスタンダードとなる可能性も高く、業界関係者も大いに注目している。

2025/05/06