インフレが進行する中で、顧客の中で低価格志向が強まっている。商品部門ごとに、仕入れから売場づくり、販売まで一貫して責任体制を明確化する方式やサプライチェーン全体の効率化を目指し、標準化、平準化により低価格を実現する方式、特色あるフォーマットの確立など活発化している。安い価格を求めてPB商品やEDLP商品を購入する人が増えているほか、低価格を打ち出しているドラッグストアでの食品の購買機会も多くなっている。
▼インフレ状態であるとは、物価や賃金が上がっている事なので、商品価格は平均すればインフレ率並みに上がっているのだ。全ての人が低価格志向になっているというわけではなく、価格についての二極化が進んでいるという事だ。物価と賃金が同じように上がっている中で、所得が物価以下でしか伸びていない人たちと、所得が物価以上に伸びている人たちの二極化が起きている。もっとも、仕方なく物価高を受け入れている層が多くいるという事だ。
▼業態の変遷を見れば分かる通り、価格破壊や低価格路線の展開は、流通業の構造変化の原動力となってきた。インフレの時代に低価格路線の拡大というのも少し変な感じだが、価格上昇の流れが低価格路線を支援する結果になっている。ただ賃金上昇や原材料費の高騰で、費用は上昇する一方なので、全ての企業やすべての商品が低価格路線に乗れるわけではない。費用の増加を価格に転嫁していくことが求められる。転嫁せざるを得ない企業も存在する。
▼サービス分野での価格上昇が顕著だが、一般的にサービス分野の人件費比率は高くなる。そのため、上昇する人件費を価格に転嫁することが求められる。価格引き上げを消費者に受け入れてもらうためビジネスモデルの修正が必要となる。同じように食品スーパーの部門間でも価格の二極化は起きる。生鮮部門や惣菜部門など原料費や人件費を価格に転嫁しないと難しい部門がある。高い価格を顧客に受け入れてもらう必要がある。インフレの中での価格転嫁は、企業、部門のブランド力を試す機会になっているようだ。
2025/05/14
