新作のエコバッグは直ぐに売り切れた・・・

コーネル大学RMPジャパンの13期カリキュラムも残すところ2カ月になった。7月には修了学習のためにニューヨーク州イサカ市の大学を訪問する。情報の整理に着手しなくてはならない時期になった。修了講義と同時に幾つかの店舗見学も実施するので、店舗のポジショニングの違いを整理しておくのも米国小売業を理解する上での楽しみになる。米国に在住する流通コンサルタント「R2リンク」の鈴木敏仁氏がコラムで「Trader Joe’s」を取り上げていた。

▼Trader Joe’sのビジネスモデルは興味深いのだが、修了研修時に参加者がお土産にエコバッグを購入する姿も興味深い。鈴木氏のコラムにもエコバッグに関するものであった。新作のエコバッグを発売するというので、近隣店舗に駆けつけたのだが、営業開始前に長蛇の列が出来ていた。新作のエコバッグは直ぐに売り切れ、ネット上で高値の取引になるとの話は聞いていたが、これまでの想定はしておらず、Trader Joe ‘sの強さをまざまざと見る思いがしたとあった。

▼カラフルでデザイン性の高いエコバッグを廉価に販売しているが、キャンバス地のシンプルなアイテム(売価3.99ドル)が人気でロングセラーの定番となっている。これのミニサイズ版を昨年春に2.99ドルで販売、その後にカラーバリエーションを増加、数量限定ということもあってネット上で爆発的な話題となった。秋には定番保冷バッグのミニサイズが出て、今回の新作はパステルカラーであり人気が高まったようだ。

▼広告はポッドキャストとラジオだけで値下げ販促はない。チラシも年4回発行の数ページの小冊子だけである。商品の魅力で集客できているから広告は不要なのだ。試食などの対面戦術が主体で、棚と商品を見ながら売場で品揃え計画を考えるという。コロナ禍でも、宅配等のサービスを付加することがなかった。よく店内で社員が顧客と世間話をしているが、「店員と会話して欲しい、お客様との会話が大好きな会社」と訴えている企業なのだ。これで、年商149億ドルで544店舗という大きなチェーンストアなのだ。小売業のポジショニングを考える時、格好の教材のような存在と思える。

2025/05/18