Walmart、Eコマース事業の黒字化に30年・・・③

WalmartがEC事業の成功に至るまでの道のりは、「イノベーターのジレンマ」の危険性や、長く放置された組織内の快適さがもたらす悪影響についての教訓として役立つはずだ。フォーチュン誌の「Walmart:Inside the secret history of Walmart’s innovator’s dilemma and its decades-long road to e-commerce success」を見ると、最近の飛躍をもってしても、長年の”自ら招いたECの失敗”が残した「もしあの時…」という後悔を完全に消すことはできないようだ。EC事業の収益化への長く困難な道のりは、未来への投資の重要性に、変化への抵抗がいかに高くつくかを物語っている。

▼第1四半期(2月~4月期)決算のアナリスト向け決算説明でECの収益性向上を果たした理由を以下のように列挙している。我が国の食品スーパーのネットスーパーの参考になりそうなので列挙しておく。

  1. オンライン顧客の増加による配送コストの分散:CFOのジョン・レイニー氏は「配達先が増えれば1件あたりの配送コストは下がる。例えば1つの通りに1軒だけ届けるのと、同じ通りに5軒届けるのとでは効率がまったく違う。規模が大きくなるほど、コストをより多くの注文に分散できるようになる」と説明している。
  2. サプライチェーンの効率化
  3. エクスプレス配送への有料化:Walmartのネット注文客の約3分の1は、無料配送を当然のサービスと考えるのではなく、追加料金を払ってでも早く届けて欲しいと望んでいる。
  4. 地元店舗からのオンライン注文フルフィルメントの増加:Walmartでは、ネット注文の多くを遠くの倉庫ではなく、地域の店舗から出荷するようになっており、これは一般的にコスト効率の良い販売方法とされている。実はこの戦略、Amazonの幹部たちがネット通販黎明期からずっと警戒していたものでもある。なぜなら、Walmartの店舗は米国中に広く分布しており、大多数の消費者のすぐ近くにあるからだ。
  5. オンライン広告およびデータビジネスラインの強化:これらの事業はEC部門の収益に含まれており、実際のところドッグフードやデオドラント等の商品を梱包して発送するよりも、はるかに高い利益率を持っている。

▼Walmartは消費者の動向について、・顧客は依然として選択肢を重視し、一貫した行動を取り、価値と配送スピードを優先している。・全ての所得層で成長が見られ、4月には新規顧客が増加した。・イースター休暇などのイベントでは、顧客が季節イベントや自宅での食事会を優先していることが示された。・価値は全ての所得レベルで共感され、利便性(時間の節約)は誰にとっても非常に価値がある。会員数の増加は、更新率の向上、新規会員の獲得、Plus会員の浸透率向上によるもので、全ての所得層で見られる。・一般商品については、エレクトロニクス、ホーム製品、スポーツ用品がやや低調で、消費者の支出が裁量品から必需品(食料品)にシフトする傾向が続いている。との発表だ。

2025/05/29