深刻さを増す少子化、どう行動すべきか・・・

厚生労働省は4日、2024年の人口動態統計を発表した。日本で生まれた日本人の子どもの数が68万6061人で、統計のある1899年以降初めて70万人を割ってしまった。前年比で5.7%減しており、国が想定しているものより15年も早い状況だ。外国人を含む出生数は前年比5.0%減の72万988人だったが、いずれにしても9年連続で過去最少を更新し続け少子化に歯止めがかかっていない。日本全体の人口減少は加速度を増している。

▼そして、反転の兆しは見えない。今年に入っても、1~3月の出生数は前年同期比4.6%減と歯止めがかかっていない。合計特殊出生率も1.15と前年より0.05ポイント下がり、3年連続で過去最低となった。「おおむね2.07」が人口維持に必要とされているが大きく下回っている。しかも親となる世代が減少するので出生数の回復はいっそう難しくなる。1990年代生まれは120万人で安定していたが、2000年代半ばには110万人を割り、10年代は100万人を下回っている。少子化反転のチャンスも残り少ない。

▼急速な人口減少は日本経済の先行きに影を落とす。食品スーパーも同じで、人口減は消費を下振れさせる。特に胃袋の数と胃袋サイズとで支えられたフードビジネスにも大きな影響が出るはずだ。また、生産年齢人口の減少により、労働力不足は深刻さを増す。これまでは、女性や高齢者の就労促進によって労働力人口を補ってきたが、少子化を補いきれなくなっている。

▼.23年に岸田首相は唐突に「異次元の少子化対策」を唱えた。30年までが少子化を反転させる「ラストチャンス」と位置づけ、28年度までに国と地方あわせて3.6兆円規模の施策を実施するとしたが、2年目を迎えても効果につながっていない。「少子化トレンドの反転」を目標に掲げていたが具体的にどうするかの明記がない。出生に関する事など、国が数値目標を設定することに抵抗感を持つ人がいるのも事実だが、具体的な数値目標がなければ有効策は打てず、責任の所在も不明確になってしまう。現状の少子化対策はバラマキが基本になっており、それが功を奏し切れていないと思える。この先、我々の業界はどのように考えて行動するべきなのだろうか。

2025/06/11