「備蓄米」の動きから、新商品群の開発を・・・

連日、備蓄米の話題がニュースになる。小泉大臣は新たに20万トンの備蓄米を追加放出することを発表した。古古古古米(2020年産)は、5キロ1700円程度で店頭に並ぶ見通しという。「令和のコメ騒動」は謎だらけだ。コメに関する供給力不足なのか。そうだとしたらコメ離れが進んでいるといわれる中で何故と思う。流通経路に不備があるのか。そうだとしたら隘路は何処にあるのか。異常気象が問題なのか。日本の農政のどこかに時代錯誤的な歪みが潜んでいるのか、謎ばかりである。

▼このような中で、著名な流通コンサルタントが備蓄米放出から新たな提案をしている。小泉大臣による「随意契約米」は、PB商品と考えればその本質が理解出来るだろう。「入札備蓄米」は、既存のNBにもう1つのNBを追加しただけで、モノとしての米の不足を補うだけの役割に過ぎなかった。「随意契約米」は、PB商品だが、第2のPB商品との解説だ。独自の発想、独自のMDによるPBでもなければ、意識的・計画的な・継続可能な商品群でもない。A社が売る備蓄米もB社が売る備蓄米も同じモノに過ぎないからと説く。

▼売切れ続出の「随意契約米」だが、小売業としての独自MDは何もない。しかも数量には制限がある。今後も継続して売ることは出来ない。流通業がリーダーシップを取ったのではなく、小泉大臣のアイデアにすぎない。単に、急速に手広く売る「販路」として、チェーンを選んだに過ぎない。だから第2のPB商品と位置付けた。課題は、消費者の「手頃な値段」で購入したいというニーズはなくならない。むしろ「備蓄米」が売り切れ・使い切られてしまえば、次の手を考えなければならなくなる。米のニーズは今後とも続くのだ。

▼コメへの関心事を生んだのは、コメが主食だからではない。「物価が高止まり」し、このインフレ傾向は今後とも続くとみられ、自己防衛に走っているからだ。既に影響が出始めている業界もあり、今後とも倒産や閉店は増えるにちがいない。食品スーパーでの買い方も「ジックリ考え、予算を考え、必要だと思うモノだけ買う」という買い方に変わるかも知れない。変わると、客単価は確実に落ちる。「備蓄米」の動きから、新しい商品群のMDを積極化する時が来ている。流通業より政治家の方が「物価」に敏感なのではないか・・・と流通コンサルタントは警鐘を鳴らしていた。

2025/06/12