7月訪問の米国小売業のいまは・・・②

全米小売業協会(NRF)は、トランプ大統領が相互関税の方針を表明した4月2日、対象を中核小売業に絞った集計手法での見通しを発表している。NRFによれば、関税など、経済の不透明感が続く中でも、25年の米国小売業の総売上高は同2.7~3.7%増の5兆4200億~5兆4800億ドル(約785兆~794兆円)に拡大する見通しであるという。根拠となっているのが、失業率の低さや賃金の上昇といった経済の基礎的条件の底堅さだ。

▼米国労働省が6日に発表した「5月の雇用統計」によると、非農業部門雇用者数13.9万人増で、市場予想の12.6万人程度の増加をやや上回っている。ヘルスケアやレジャー・接客業などで増加傾向が続いている。一方、政権が実施している連邦政府職員削減策は2.2万人の減少で1月から累計5.59万人減少したことになる。失業率は4.2%、平均時給36.24ドル(前月比0.4%増、前年比3.9%増)であった。景気減速への警戒感は和らいだ形だ。

▼同月の米消費者物価指数(CPI)は、上昇率は前年同月比2.4%(前月比0.1ポイント上昇)となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同2.8%上昇で、前月と同率を維持した。4月は21年2月以来の低水準であり、それと同じ率であった。項目別では住居費が3.9%、外食費が3.8%上昇、ガソリン価格は▲12%、衣料品は▲0.9%であった。政権の関税措置がインフレを再加速させるとの警戒感も出ているが低下傾向だ。

▼足元の小売各社は、仕入先・生産国の見直し、関税支払いを猶予できる「保税倉庫」スペースの確保、関税一時停止期間中の駆け込み輸入など関税への対策を進めている。WalmartやTargetなどは、サプライヤーに一部負担を求める交渉を進めているとの報道がある。消費者は、より安価な商品を求めて小売業者の比較・検討を進める動きが強まるとみられる。中でも安価で品揃えが豊富、配送料無料で即日配送にも対応するECが支持を集める可能性が高いとの予測がある。年会費を支払ってでも「節約効果」が高いことも重要な意味を持つようになっている。年に数回の大幅割引セール、年間を通じて支出を抑えられるという認識がECの利用に寄与しているようだ。

2025/06/14