増収であったが、利益率は悪化している・・・

食品スーパーの24年度業績は、コロナ後の物価上昇とコスト高騰を受けて増収を確保した企業が多数であったが、利益率は悪化している上場企業が多い。単純な売上増だけでは厳しい経営環境が続いている。背景には、価格転嫁の難しさや消費者の節約志向、企業規模による格差拡大、さらには業態を超えた競争激化がある。小売業界の勢力図が大きく替わりつつあるが、これからの成長を左右するカギはどこにあるのだろうか。

▼24年度の上場食品スーパー各社の決算が出そろった。上場17社のうち15社が増収となり、8社は増収増益を達成している。しかし、収益率でみると改善したのはわずか3社だけであった。売上は物価上昇の影響で押し上げられたが、荒利益率の低下(10社)と販売管理費率上昇(7社)が要因だ。価格転嫁に苦慮したのであろう利益率を維持することは難しかったようだ。ちなみに増収し、収益率改善を達成したのは、ベルク、マックスバリュ東海、ハローズの3社だった。

▼前年度も同じような環境だったが、実質賃金のマイナスが続き、財布の紐は確実に固くなりつつある。価格転嫁もやむを得ないと受け止めていたが、節約モードが支配的になっている。値上げによる客数減が顕著になり、価格転嫁をすることが難しくなってきたのだ。大企業による賃上げや新卒初任給の引き上げといったニュースが目立つが、実質的な賃上げには時間がかかりそうな中小企業も多い。可処分所得差は広がり、一方で物価上昇は続き格差解消の糸口が見えないのだ。

▼消費者の節約志向が強まる中、中小規模の食品スーパーは減収減益に追い込まれたのではないだろうか。全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット販売統計」を見ても地場スーパーは地域ごとに独力での経営を続けてきたが、業界平均の営業利益率は1%前後と極めて薄く、赤字企業の増加も懸念材料となっている。加えて、地域ごとの売上動向にも特徴がみられる。北海道、東北、九州、中部では伸び悩みが続く。とくに中部圏では、大都市圏を擁していながら数字が芳しくない。理由の1つは、食品を重視するドラッグストアの急増による市場浸食があるのではないだろうか。食品スーパー業界もインフラ投資とオペレーション変革が重要になって来た。

2025/06/15