米国のネットスーパー利用者は、「店舗ピックアップ」と「宅配」を支持している。いずれも店舗がEC事業を支えていることになる。また、ネットスーパー運営の企業にとって、顧客の近くに店舗を持つことの意義は大きい。売上を上げる事で、店舗への初期投資を軽減する目的もある。実店舗を持たない専業企業は、有店舗との競争力を高める為にも、商品力や販促面での差別化を図る動きが加速している。
▼ネットスーパーを成功させるうえで、独自のロイヤルティプログラムが必要のようだ。ある調査によると「EC利用時に重視する要素」の1位が、「自分のニーズに合ったロイヤルティプログラムの提供」(61%)で、「セールや値引き」(57%)が2位である。明朗な特典内容がECの成功につながるようだ。その点でWalmartやAmazonは、数々の特典を用意してロイヤルティプログラムを用意している。ただ、年会費が高額で利用ハードルが高いとの声もある。
▼どんなロイヤルティプログラムがあるか、食品スーパーの例として「Kroger」を見ると、年会費無料の「Kroger Plus」と、年会費59ドルの「Kroger boost」という2種類のロイヤルティプログラムを用意している。これは、実舗での購買時、ECだけでなく、店舗併設のガソリンスタンドなど様々なチャネルに展開されている。無料会員は会員限定セールを活用すれば年間平均576ドルの節約が可能、有料会員はポイントが2倍や即日配送が無料などで、年間平均1000ドルの節約効果が見込まれる特典がある。
▼ネットスーパーは消費生活の一部としての進化を続けているが、「Trader Joe’s」だけは参入せず、ウェブサイトにも「オンライン販売はしない」と掲げている。コロナ禍時には、さすがに業績への影響もあったが、独自の経営理念は崩さなかった。Trader Joe’sの商品が欲しければ実店舗に行くしかなく、混み混みの駐車場に苛立ちながらも通わなくてはならない。今のところ、店が混雑しても熱狂的な人気のおかげで売上は右肩上がりだ。出店も加速させているが、実店舗だけで集客できる稀有な存在が今後、単一販路でどこまで成長できるのか注目したい。
2025/06/18
