7月訪問、米国小売業のいまは・・・⑧

(昨日のつづき)価格訴求型PBの拡充が進む中で、価格以外の価値を訴求するPBを新たに立ち上げる動きも活発になっている。消費者の多様な嗜好やニーズを踏まえWalmartの食品PB「ベターグッズ」は、これまでの20年間で最大規模のPBとして昨年春に創設された。このPB、米国内世帯の16%が購入経験を持つまでに急速普及している。独自性があり、かつ高品質でおいしい商品を手頃な価格で提供しているのが特徴だ。鮮やかなデザインが“プレミアム”感を演出している。

▼この「ベターグッズ」は、「カリナリー(料理)体験」(革新的なレシピや高級食材、食のトレンドにフォーカス)、「プラントベース」(植物由来の原料使用)、「メイド・ウィズアウト(不使用)」(グルテンフリーや着色料無添加)3つのカテゴリーで、冷凍食品や加工食品、乳製品、菓子、飲料などの約300品目。価格は2ドルから15ドルで設定され、5ドル未満の商品が7割を占めている。

▼健康面の価値訴求もPBのトレンドの一つだ。特にドラッグストアでも、健康志向に対応したPBが次々と誕生している。最大手のCVS Healthは、健康志向のPB「ウェル・マーケット」を立ち上げ、菓子、飲料、加工食品を展開。Walgreensは、健康配慮型PB「ナイス! フォーユー」を創設し、加工食品や冷凍食品、飲料など150品目以上を扱う。両ブランドとも、人工香料・甘味料・合成着色料不使用を基本とし、オーガニックやグルテンフリーの商品を多数揃えることで、健康的な食生活を支援する姿勢を打ち出した。

▼このほか、簡便性を追求したPBも登場している。Albertsonsは、主菜・副菜メニューを冷凍食品として商品化したミールソリューション型PB「ミックス+マッチ」を立ち上げた。190℃のオーブンで35分加熱するだけで、おいしい料理が出来上がるという簡便性が利点だ。今後、節約志向を背景とした価格訴求型と、多様化するライフスタイルに応える付加価値型の両輪で、その存在感をさらに高めていくことが見込まれる。自社のPBがいかに消費者の選択肢に入り込めるかが、業界の競争の中で優位になるためのカギとなる。

2025/06/21