米国で人気を誇るスーパーマーケットのひとつがWegmansだ。米国の8州に112店を展開するスーパーマーケットで、コーネル大学RMPジャパンの修了研修時には必ず立ち寄る企業なのだが、米国流通コンサルタントのコラムに取り上げられていたのでお伝えしたい。6月25日、メリーランド州では9か所目となる新店をロックビル地区に80,000平方フィート(約2,240坪)でオープンする。今年の新店は3店舗のみだ。
▼来年は創業110年を迎えるWegmansだが年間に数店舗程度の新規出店となっている。年間に数店舗程度の成長は「人」を大切にしているからだ。従業員の定着率は業界平均の2~3倍になっていることからも理解できる。15歳でアルバイトとして働き出したスタッフが生涯にわたって在籍していたりする。昨年は1万人の採用枠に35万人が応募してきたというのだ。とても羨ましい限りだが、採用の決め手はケアリング(思いやり)のある人か否かという。
▼トレーニングで他のスキル育成は出来るが、「思いやり」は研修で育成することが難しいようだ。従業員だけでなく取引先との関係性を大切にした経営は、フォーチュン誌の「100 Best Companies To Work For」で、20年間連続で選ばれた企業に贈られる「Great Place to Work Legends」になっていることからもわかる。今年も6位と食品スーパーとしてはありえない高ランクを維持しているのだ。
▼米国の人気番組「CBS News Sunday Morning」で、CEOは「お店のマネジメントとパーソナルな関係を築きたいから、年に少なくとも1度は訪問したい。祖父の代から始めた慣習を行うためにも(各店に訪問できるように)小さいままでいたい」と言っていた。米国流通コンサルタントが、「店の天井に鉄道模型が走るWegmansの真似して自分たちの店舗でも同じことをしたりする。そして、表面的なところを真似て『チャレンジ』という事が多いが、本当は誰もやっていないことをするのが『チャレンジ』」と述べている。オムニチャネル化であったり、アダプティブ・リテーリングへの取組こそが「チャレンジ」なんだとの事だ。
2025/06/25