7月訪問、米国小売業のいまは・・・⑬

米国で2527店舗(25年5月末)を展開する「Aldi」だが、昨年の3月に「28年度末までに90億ドルの投資をして、更に800店舗を新規出店する計画」と発表した。今年も225店を開店する予定で、ドイツから米国に上陸してから約50年、これまでの最多出店の年となる。コーネル大学RMPジャパンの修了研修時には、細かな見学をさせて頂く企業で、昨年は配送センターまで見学させて貰った。

▼Aldiはコロナ禍前後も売上・店舗数とも順調に伸ばしているのだが、今年度はこれまでの年度のおよそ倍になるスピードでの出店になる。この計画達成のために昨年は、食品スーパー「Winn-Dixie」などを保有する「Southeastern Grocers」社から400店舗買収した。このうち約220店舗をAldiに転換するが、不要な店舗170店舗余りは売り戻すという我が国では考えられない荒業を見せた。出店を急ぐのは、食品価格の急騰が始まって約3年が経過、加えてトランプ政権への交代で国民の家計防衛意識が高まっているからだ。

▼高級食品スーパー顧客の一部が「Walmart」に、Walmartの顧客がAldiにシフトするという動きが起きているようだ。安値な商品を追い求めるうちにハードディスカウンターの商品でも十分においしいことを知ったのである。ネットスーパーの浸透も同じような影響を与えている。容易に価格比較でき、商品の試食(用)を自宅で気軽にできるようになった。これまで、小型店舗でPB比率が80%以上もあることはデメリットと認識されていたが、マイナスの印象が払拭されつつあるという。

▼また、Aldiの「DS+小型+ネットスーパー完備」という事業モデルは、Walmartだけでなく、「Costco Wholesale」や「Sam’s Club」などのホールセラー、あるいはダラーストアなど、あらゆる業態の脅威になってきている。Aldiは、出店コストが低く開店までの時間が短いという強みがある。これを生かして店舗網を増やせば、ネットスーパー事業の拡大も有利で、ECでも急成長を遂げるための条件が揃っている。事業拡大の千載一遇のチャンスと捉えているようなので、出店スピードはますます上がるであろう。

2025/06/27