昨日も、全国的に気温が上がり猛烈な暑さになった。TVでも、熱中症への対策徹底と局地的に予想される激しい降雨による浸水や増水への注意喚起のフレーズが増えている。気象予報士でタレントでもあるコメンテーターが「今、そこにある危機は気象現象」と警告していた。短期的には倒れることなくどう暮らすかであり、中期的には農作物の不作、更にはエネルギー、食糧問題に波及していくことになりそうだ。コメの問題が、他の農産物にも拡大する心配がある。
▼気候変動は日本の農業にとって「将来の課題」ではなく「現在進行形のリスク」のようだ。昨年(2024年)を思い出してみよう。平均気温が平年を1.48度上回り過去最高を記録、収量は伸び悩んだ。野菜主要14品目の取引量(各地区大手7卸のデータを基に算出)だが、約111万トン、果実主要12品目は26万トンでいずれも過去10年で最少だった。反対に日農平均価格を見ると、野菜主要14品目は1キロ180円、果実主要12品目は同491円で、いずれも過去10年で最高値となった。
▼食品スーパーの現場的に野菜の相場と気候変動の相関をみると、異常気象の発生した数カ月後に価格高騰が起きる。23~24年の冬は、平均気温が平年より1.27度高く、過去2番目に暑い冬となり、その上に3月の寒気や雨の影響で生育や収穫作業が遅れた。こうした影響で、4月の主要野菜14品目の平均価格は平年の2割高になってしまった。特にここ数年は、高温や大雨が相次ぎ収量低下を余儀なくされ安定的な出荷が年々難しくなっている。農業生産者が気候変動に翻弄される状況が浮かぶようだ。
▼農産物の安定供給を守るためには、行政・研究機関・生産者・消費者が連携し、気候適応型農業への転換と、温暖化の緩和に向けた行動を加速する必要があるのだが、これには時間がかかりそうだ。日本の「食」問題で深刻なのは、食の個人化・孤立化、高齢化・少子化による食生活の変容、食料自給率の低さ、そしてフードロスの問題なのだ。だがTV番組などは大盛り、大喰をテーマに笑いを追求することや商品の少しの価格上昇を、鬼の首を採ったようにレポートすることが続いているのだ。
2025/07/02