中食・外食への依存は、食文化継承の危機・・・

日本の「食」に関する課題は、家庭・社会・産業の各面で多岐にわたっている。7月に入ると次年度のコーネル大学RMPジャパンのカリキュラムの見直しをする。その時、食品流通業を取り巻く展開するうえでの課題を見直す必要に迫られる。数多くの食品産業のリーダーを輩出してきたコーネル大学の食品産業マネジメントプログラム(FIMP)と全面提携し、日本の「業界内大学」を目指し、次世代リーダーを育成するためのものだからだ。

▼日本全体としての「食」を考える時に深刻なのは、食の個人化・孤立化、高齢化・少子化による食生活の変容、食料自給率の低さ、そしてフードロスの問題といえる。家庭の食卓では、家族で一緒に食事をとる「共食」の機会が減り、個別に好きなものを食べる「個食」が広がっている。背景には共働き世帯の増加や高齢単身世帯の増加があり、栄養の偏りや孤食による精神的な面での懸念もされている。

▼そして、家庭内調理の縮小により、加工食品や中食・外食への依存が進み、食文化の継承も危機に瀕しているのだ。社会的には、子どもの貧困や高齢者の孤立問題が、食の不均衡や栄養格差を引き起こしている。給食や子ども食堂、高齢者向けの配食サービスなどの取り組みはあるが、支援が十分とは言えない。更に、農業の担い手不足と食料自給率の低さも大きな課題だ。日本のカロリーベースでの食料自給率は、約38%と先進国の中でも極めて低い。

▼食料の海外依存が高い現状は、国際情勢の不安定化により供給リスクが高まり、安全保障上の脆弱性を抱えている。足元のコメ問題を解決できるという保証はない。一方、フードロスの問題も深刻で、日本では年間500万トン以上の食品がまだ食べられるのに廃棄されている。倫理的にも環境的にも大きな課題であり、食を「個人の問題」ではなく、「社会全体の文化・倫理・経済の基盤」として再認識し、持続可能で豊かな食の未来を築くための総合的な取り組みが求められている。その主要なメンバーが食品スーパーのはずだ。

2025/07/03