市場拡大が続くが、この先の最低賃金の上昇影響は・・・

2024年度の各社決算が出揃い、業界マスコミ各社が特集を組んでいる。ただ、それはランキング中心で、なかには経営者の成績通知表のような扱いのものもある。読者としては、業界全体のトレンドを把握し、各業態の改革の切り口を探りたいが、企業業績の番付表的なものが多く残念だ。決算は個の企業活動の結果なので仕方ないのだろうが、もう少し、業態動向を抽象化し本質的な動きを明確に伝えて欲しい。小売業は変化適応業なのだから、起きている変化を客観的に把握したい。

▼前年度に引き続き、企業間格差が顕著だ。円安、インフレ、人件費をはじめとした各種コストアップ、足元ではインバウンド失速の動きが見られるなど不透明感が増す中、業態内の優勝劣敗が鮮明になっている。大きなサプライズはなく全体的には順調だったが、業態を問わず二極化がすすみ、優勝劣敗の様相を呈している。食品スーパーは企業によって業績の明暗が分かれた。減益した企業にとって、負のスパイラルを断ち切ることが難しい状況である。

▼一般的に「大きい会社はいい会社」とされてきたが、M&Aが必ずしも解決策ではないこともわかってきた。例えば、食品スーパー2社間で、売上高が4倍の差があるのに営業利益がほぼ同じケースがある。「規模が大きくなれば収益性もよくなる」という発想は転換が必要かもしれない。インフレを背景に市場拡大が続く食品スーパーだが、この先は最低賃金の上昇が見込まれており、収益面で苦戦中の企業はより厳しい状況に置かれることになる。

▼これまでは実質的に単独路線だった企業が持株会社に移行するとの発表がある。強いといわれている企業が次の一手を打とうとしている。数合わせの連合体では勝てなくなるリスクがより高まって来るだろう。食品スーパーでも再編がすすむことは間違いなさそうだ。競合の環境を前提として、新しい仲間づくりに向けた体制を整備しておく必要がありそうだ。幾つかの企業の持株会社化は、M&Aに打って出る姿勢の表れと考えられなくはない。

2025/07/04