青果の安定供給と収益確保という課題・・・

酷暑の日々が続いている。「異常気象」とは、過去に経験した現象から大きく外れたものを指す。大雨や暴風など数時間で終わる激しい現象から、数か月続く干ばつや極端な冷夏・暖冬までが含まれる。気象庁によれば、異常気象の定義は「ある場所・ある時期(週、月、季節)において、30年に1回以下の頻度で発生する現象」とされている。そう考えると、直近の気候はすでに“異常”ではなく“通常化”しつつあるのかもしれない。昨年の気象を思い出しても、農作物の生育に対する懸念はぬぐえない。

▼昨年の夏以降、猛暑・台風・少雨といった極端な気象が重なり、キャベツ、大根、白菜など葉物野菜の収穫量が大幅に減少し、市場価格は急騰した。現在は供給が安定し、野菜の価格も落ち着きを見せているが、かつての価格高騰は消費者の購買行動に大きな影響を及ぼしている。「家計調査報告」によれば、2024年の2人以上世帯における野菜・海藻の名目支出は4.0%増加したものの、実質支出は4.2%減少。果物も名目支出では3.1%増加しているが、実質では6.9%減となっている。

▼つまり、価格の上昇によって青果物への支出額は増えたが、購入量は減少したということになる。結果として、野菜の摂取量の減少につながっている。「令和5年国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の1日あたりの野菜摂取量は平均256.0gにとどまり、国の目標である350gには遠く及ばない。しかも、この数値は過去10年間で減少傾向にあり、物価高騰やライフスタイルの変化が、継続的な摂取量低下を引き起こしていると考えられる。これは、食文化の面から見ても懸念材料だ。

▼こうした厳しい環境は、食品スーパーの商売のあり方を見直す契機になるかもしれない。青果部門は、来店頻度に直結する重要な部門であり、従来は価格を前面に出して集客を図る戦略が主流だった。しかし、近年の価格高騰により、従来と同じ価格戦略を維持するのが難しくなっている。また、これまで機能していた「52週MD(年間計画型商品政策)」も、気象や相場の変動により破綻しつつある。現在、食品スーパーは、青果の安定供給と収益確保という大きな課題に直面している。

2025/07/10