米国の「Target」だが、7月27日から「Amazon」や「Walmart」など競合他社との価格マッチングを終了する。これは価格戦略の簡素化を目的としたもので、既にWalmartは23年6月以降「競合店の価格には合わせない」方針に転換しており、業界全体が価格競争からの脱却を進めている。かつてWalmartは「セービング・キャッチャー」により競合との価格差額を還元していたが、現在はEDLP(Everyday Low Price)を軸に据えている。
▼背景にあるのは、オムニチャネル化の進展がある。実店舗とオンライン販売を統合的に展開し、自社内で価格整合を図る一方、競合他社との価格比較による差額返金といったサービスは姿を消しつつあるのだ。Targetの最新決算では、既存店売上が前年同期比で3.8%減少。特にリアル店舗の売上は5.7%減だ。一方、オンライン経由の売上は4.7%増加しており、全体売上に占めるEC比率は19.8%に拡大している。
▼オンライン売上のほとんど(97.6%)は店頭在庫からの出荷で、Drive UpやOrder Pickupといった利便性重視のサービスが貢献している。加えてTargetはPB戦略を強化しており、「Good & Gather」「Cat & Jack」「Cloud Island」などのPBを展開。PBブランド数は5年間で43から49に増加し、売上は3,000億ドルを超える規模となっている。著名シェフとのコラボ商品も開発するなどして独自性を高めている。
▼更に、アップルやディズニー、スターバックス、ワービーパーカーとの提携によるショップ・イン・ショップ戦略も推進。チェーンストアの競争軸は、「最安価格」から「利便性」や「ライフスタイル提案」へとシフトしており、価格だけでない独自の顧客体験が重視される時代になっている。小売業界の現状は、リテールテックの導入による「省人化」とともに「顧客体験の質を高める」取り組みが急速に進んでおり、競争力の鍵はテクノロジー活用の巧拙にかかっている。
(2025/07/25)

