上位5社の売上シェア16.7%しかない食品スーパー・・・

『DIAMOND Chain Store』誌(9月15日号)に掲載されている「日本の小売業1000社 ランキング」、これは2024年の年間売上高を基準に作成されたものだが、食品スーパーの寡占度は依然として低い。売上高は、食品スーパーが19兆7089億円(295社)、同じ業態ともいえる生活協同組合の売上高2兆7178億円(50社)を加えた総額は22兆4267億円となる。このうち上位5社の売上高3兆7655億円で、シェアはわずか16.79%しかないのだ。

▼日本の食品スーパーは、地域ごとに独自のチェーン企業が存在する分散型構造が続いている。使用頻度の高いスーパー名を聞けば、その人の出身地が推測できるほどで、私たちには自然な事だが、欧米の視点からは特殊な現象である。欧米では上位数社による寡占化が進み、WalmartやCarrefourなどの巨大チェーンが国全体をカバーしている。これまで外資系大手が幾つも進出したが、撤退を余儀なくされた背景には、この分散構造があるようだ。

▼上位5社のシェアだが、百貨店が54.09%、GMSは74.00%、コンビニエンスストア98.09%でドラッグストア43.86%である。食品スーパーだけが寡占化しなかったのか。最大の理由は「規模の利益が働かないオペレーション構造」にあったのだろう。欧米では、標準化と集中化によって効率性を高め、仕入れや物流を統合して価格競争力を獲得してきた。日本では、店舗ごとの労働集約に依存していたため、チェーンが拡大しても効率化メリットが十分に発揮されなかった。

▼魚食・生食文化に由来した鮮度に敏感な顧客に、店内加工の様子を「見せる」ことなどの販売手法が定着した。規模拡大よりも地域密着型の経営が競争力の源泉となり、欧米大手が持ち込んだ集中処理型モデルは受け入れられにくかったのである。日本の食品スーパーは文化的要因から欧米とは異なる発展を遂げて来たが、人手不足や技術進歩により状況は変化している。現在は欧米型効率化の要素を取り込みながら新たな均衡を模索しているのである。加工工程の前段階をセンター化し、店舗では最終工程だけを行う方式に転換しつつあるのだが、これは欧米型の集中化に近づく流れと言えよう。

2025/10/09