業態動向を理解しておく必要もある・・・

日本のチェーンストア発展に大きな影響を与えてきたのが日本リテイリングセンターだ。読売新聞社の記者であった渥美俊一氏が創設したコンサルタント組織である。ここで組織された「ペガサスクラブ」が日本の小売業の近代化に大きな貢献をしたのだ。渥美氏自身が表舞台に出る機会は少なかったが、クラブに加盟した経営者を通じ、その思想は広く浸透したのだ。『日本型GMSは消滅するのか?』(関西学院大学の研究論文:2006年)においても、ダイエーの中内功氏やジャスコの岡田元也氏らの発言から、ペガサスクラブ思想の影響が読み取れる。

▼中内氏は、自らが考案したとする「日本型スーパーストア(GMS)」を1961年のダイエー神戸板宿店改装や三宮店で具現化した。しかしこれは中内氏ひとりの創造ではなく、渥美氏を中心としたクラブメンバーの岡田氏、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏らとともに形成した日本独自のフォーマットだった。米国のGMSはPB商品中心の別形態であり、日本型をGMSと呼ぶのは誤訳で、本来はハーバード大学が命名した「日本型スーパーストア」と表現すべきであったようだ。

▼中内氏は2000年、総合スーパーはカジュアルで低価格の商品集合体に回帰すべきと主張。日本の物価を米国並みに半減させることを目標に掲げた。非効率なオペレーションを正すことで低価格を実現せよという渥美の思想に通じる。岡田氏は、ペガサスクラブの思想は「安くて良い商品」を大衆に提供することがチェーンストアの本分、高級品や趣味性の強い商品は取り扱うべきでないと言う。

▼一方で、GMSは現場負荷の高さという構造的問題を抱えていた。多層階店舗が運営コストを増大させ、客の動線確保も困難で非効率であるとの批判もある。日本の高地価ゆえに多層化せざるを得なかったが、結果的にチェーンストアとしては不適切な形態を招いたようだ。加えてペガサスクラブの思想は「大衆品中心・安価で良質・効率的なオペレーション・無駄を省く店舗設計」に集約されるのだが、日本のGMSは次第に百貨店化し、原点を失った。こうした歴史的検証から、現代小売の課題と改善の方向性を考えることが重要になる。これまでの業態動向を理解して、足元の最適な業態、フォーマットを創造したいものだ。

2025/10/11