米国のFMI(The Food Industry Association、食品産業協会食品産業協会)のレポート『The Power of Foodservice at Retail 2025』は、食品スーパーのデリ調理済み食品が外食の代替として定着しつつある現状を示した。「外食の代わりにスーパーを利用する」消費者は2017年の12%から25年に28%へ急増。ファストフード利用を減らした層が23%に達し、85%がスーパーでの購入を維持・増加させている。55%は「外食より安い」と回答し、調理済み肉・ピザ・寿司などの販売も拡大。市場規模は521億ドルに達した。
▼家庭の食卓は「完全自炊か外食か」ではなく、デリ食品と家庭食材を組み合わせた“ハイブリッド型”が主流化。消費者の半数以上53%の消費者がデリ食品と家庭の食材を組み合わせて食事を構成しているのだ。昼食や夕食で特に顕著であり、ショッパーは正午から午後5時にかけてデリ食品を最も多く購入している。時間節約と健康志向を両立させているのだ。同時に、「10ドルのハンバーガーよりスーパーで2食分を買う」というコスト意識が広がり、マクドナルド顧客がアルディなどへ流れる“食品スーパーシフト”が進行している。
▼こうした中で食品スーパーは、レストランのベストプラクティスから学び、独自の「シグネチャーアイテム」(看板商品)を武器に競争力を高めている。消費者の40%が「行きつけのスーパーには知られたデリ商品がある」と回答しリピートを生む要素となっている。興味深いのは、消費者は「レストラン並みの利便性」を期待している点だ。オンラインメニューの閲覧(66%)、事前注文(62%)、ピックアップ専用ステーション(58%)、ドライブスルー(58%)、専用レジ(55%)、配達サービス(53%)といったリクエストが挙がっている。
▼食品スーパーはまた、栄養教育やフードバンク支援などを通じ、地域社会の健康とウェルビーイングを支える存在へと変化している。サプライヤーの95%、小売業者の81%が地域支援プログラムを運営しており、栄養教育やフードバンク支援、災害救援などに積極的に関わっている。興味深いのは、業態の境界はもはや意味を持たず、競争の本質は「顧客心理の理解」にある。起床から就寝までスマホを手放さない時代に、スマホの中に“自店をどう構築するか”――それが小売業の未来を決めるような動きである。
2025/10/27
